成功事例よりも要チェックな失敗事例集こと「失敗知識データベース」

2006年07月29日 12:30

失敗知識データベースイメージ【Excite Bit】に気になる記事が掲載されていた。【科学技術振興機構】が3月から無料一般公開しているデータベース【失敗知識データベース】の話だ。昨年あたりから法人や事業団体規模でノウハウやルール、案件処理方法を掲示板のようなデータベース上に提示し合いデータベース化し、知識の蓄積と共有化をはかる「ナレッジマネジメント」という仕組みが流行りつつある。しかし今データベースでは同じ知識でも「成功事例」や「うまくいったパターン」ではなく、「失敗事例」をまとめあげたものなのだという。

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失敗知識データベースイメージ2006年6月現在、「失敗知識データベース」に収録されている事例は1135件。ジャンル別では機械448件、材料208件、化学333件、建設146件となっている。サイト上ではこれらのカテゴリー別だけでなく具体的なキーワードでの検索も可能。さらに「失敗事例」を原因、行動、結果の三項目から図式化したまんだらが表示され、それを参照しながら事例を探し出すこともできる。

例えば「プログラム」を検索キーワードにして探してみると、「みずほフィナンシャルグループ大規模システム障害」や「A社ノートパソコンのセキュリティ上の問題」、「データ入力ミスで旅客機が山に激突」など、興味深い事例をいくつも見出すことができる。

また、過去に閲覧された回数が多い事件のランキングが用意されているのも興味をそそられる。それだけ多くの人に注目されているということは、その事件が社会に大きく知れ渡っているのと共に、自分の身の回りでも起きうるものとして警戒されていることを指し示す指標になるからだ。ちなみに今回記事を執筆した段階での第一位は「三菱自動車のリコール隠し」、第二位は「深海無人探査機『かいこう』行方不明」、第三位は「スペースシャトル・チャレンジャー号の爆発」などとなっている。

上位にあげられた「失敗事例」をざっとみても、「そういえばそんな事件があったっけ」と思い起こすことはできるのだが、具体的にどんな流れで何が原因だったのかまで詳細に覚えている人は少ないだろう。「失敗知識データベース」では、それらを項目別にチェックできるのがありがたい。

また、単なる事象の経過や原因だけでなく、どのような対策がなされたのか、背景にはどんなことがあったのか、さらにはこの事象を元にどのような教訓を知識化すべきかまでまとめられているのが素晴らしい。

成功事例は読んでいて気持ちよく、自分自身が成功する姿と重ね合わせて想像することでモチベーションを高められるため、多くの人に好まれる。そのためもあり、失敗事例はなかなかまとめられることがない。今回紹介した「失敗知識データベース」は、数少ない「役立つ失敗事例集」として重宝されるに違いない。

その意味ではこの「失敗知識データベース」はまさに「失敗事例集」の成功事例という、ゆかいな禅問答のようなものとして位置づけられるのだろう。

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