なめるだけで疲労数量化の技術、慈恵医大教授が開発

2006年07月25日 07:00

時節イメージ【asahi.com】によると、なめるだけで疲れの程度が分かるという簡単な疲労検査方法につながる研究結果を慈恵医大の近藤一博教授が、7月22日に開催された【日本疲労学会】で発表した。残業時間に比例して、体内に住み着いているウイルスがだ液中に増えるというもので、なめるだけで誰でも簡単に疲労を測れる方法の開発にめどがたったという。

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疲れがかさむと増えるウイルスは、ヘルペスウイルスの一種のHHV6とHHV7。乳幼児の病気である突発性発疹の原因となるウイルスだが、成人でも持っている一方、抵抗力がつけば病気を起こすことは無い。このHHV6とHHV7について、近藤教授は残業有り・無しの2パターンで実験を実施。

その結果、残業が多い人は残業の無い人と比べると10倍以上のHHV6・HHV7が検出された。さらに残業時間が長ければ長いほどその数も増えていた。そして長時間重労働をしていたり、生活リズムが不安定な人は、一週間休んでもヘルペスウイルスは減らなかったという。

近藤教授は今回の実験結果を踏まえ、「リトマス試験紙のような、なめるだけで疲労のたまり具合がわかる簡易キットを、2、3年のうちに開発できると思う」とコメントしているとのこと。

過労死や疲労の蓄積が問題視され、疲れのために休職や退職に追い込まれる人が増えている昨今、今回の発見は非常に意味のあるものといえる。もし「疲労チェックキット」の実用化がなされれば、誰でも気軽に「疲労度」を客観的な検査で数量化できるからだ。

「疲れ」は本人自身が感じるところが多く、例えば同じ作業をしたり環境におかれていても、疲労度は十人十色で同じではない。そして「疲れた、などと言うとなまけていると思われる」「疲れは他人に見えないからよほど酷くなって身体に症状が出てこないと、相手にわかってもらえない」という問題もある。

疲れを数量化し指針の一つとして活用できれば、心身の疲れ、すなわち「休みたい」という訴えを誰もが分かる形で表現することができる。「疲れたなどと言っているがサボりたいだけだろう」と詰られて無茶をさせられ、身体や心に支障をきたしてしまうというようなことも少なくなるだろう。

早期の商品化に期待したいところだ。

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