最高裁、法文厳密解釈より主旨重視で投資家保護の判決

2006年07月14日 05:30

株式イメージ[このページ(nhk.or.jp)は掲載が終了しています]が報じたところによると、破たんした証券会社「南証券」が販売した実体のない社債を購入した投資家たちが、投資家を保護するための基金「日本投資者保護基金」に補償を求めた裁判で、最高裁判所は7月13日、「投資家側に落ち度がない限り補償の対象にするべきだ」と指摘し、投資家の保護を重視する判断を示した。

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これは2000年に破たんした南証券から高利回りの社債を購入した北海道の投資家26人が、証券会社が破たんした際に投資家を保護する「日本投資者保護基金」を訴えたことに対する最高裁の判断。投資家側は元本の1億6000万円を補償するよう求めていたが、基金側は「証券会社側はうそをいって募集したこの社債は実体のないもの。社債に対する基金なので、その社債が実在しない以上、今件は補償の対象にもならない」として支払いを拒んできたというもの。今裁判では1審・2審とも原告の訴えを退け、日本投資者保護基金に支払いの必要性はないとしていた。

7月13日の判決で最高裁判所第1小法廷の島田仁郎裁判長は「実体のない取り引きだったとしても、投資家を保護するという基金の目的を考えると、投資家側に落ち度がないかぎり補償の対象にするべきだ」と指摘。投資家らの訴えを退けてきた1審・2審の判決を取り消し、社債を買った経緯などについて審理をやり直すよう札幌高等裁判所に差し戻し命令を出した。

素人目にはどちらとも判断ができる内容である以上、支払う側はできれば支払いたく無いし、もらえるかもしれない側は是非とも補完してほしいと考えるのは当然で、結果として意見の対立が生じるのも当然といえよう。

今回の最高裁判決は、法文を厳密に解釈し「保護をするのは社債などの有価証券。その有価証券が実在しないのだから、保護をする必要はない」とはせず、「投資家らが証券会社の破たんによる損失をカバーするための基金なのだから、それがたとえ実在しない社債であっても、証券会社自身が社債として扱い投資家に売買していた以上、保護の対象にすべき」という、主旨を重視した判決といえる。

閑話休題。日本投資者保護基金とは、1998年に国内の証券会社225社が共同で設立した基金。証券会社が破たんして投資家が証券会社に預けていた有価証券などの資産をかえせなくなってしまった場合、その証券会社に代わって投資家らに資産を返還し、証券市場への信頼性を維持する目的で作られた。現在証券会社は加入を義務付けられている。かつては「日本投資者保護基金」と「証券投資者保護基金」の2基金があったが2002年には統合し、現在の「日本投資者保護基金」となっている。

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