【更新】後発医薬品(ジェネリック医薬品)、普及広まる一方で問題も

2006年07月09日 07:30

[YOMIURI ONLINE]において今年4月からスタートした、後発医薬品(ジェネリック医薬品)の日本国内市場が徐々に拡大しているとのレポートが掲載された。医療費の抑制を狙う【厚生労働省】が利用を後押ししていることもあり、新薬メーカーや外資の参入も相次いでいるという。

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「後発医薬品」とは「開発者の特権である先行独占使用ができる特許が切れた薬について、同じ成分を使って安く提供できる、同等の効果が期待できる医薬品」とのこと。この後発医薬品について4月から、処方せんに医師の記名押印があれば、患者が新薬(これまでの通常の薬)の代わりに後発医薬品を選択できる制度を始めた。2004年現在日本の後発医薬品のシェアは数量ベースで2割未満(16.8%)、金額ベースで1割未満に過ぎないが、今後この比率は増加するものと思われる。例えばアメリカでは数量ベースで5割以上を後発医薬品が占めている(後発医薬品は価格が安いので、金額ベースのシェア比較はあまり意味がない)。

元記事では【沢井製薬(4555)】が大規模な啓蒙キャンペーンを行ったり、【田辺製薬(4508)】が参入予定なこと、【日本調剤(3341)】が4月から子会社経由で製造販売を開始したこと、外資としては世界最大の後発薬メーカーが日本支社を設立したことなどが紹介されている。

一方後発医薬品には課題や不安が指摘されているのも事実。低価格で提供ができ、開発そのものは基本的に不必要なため、多くの後発医薬品メーカーは新薬メーカーより経営規模が小さい。そのため、経営難その他の理由で生産を突然打ち切り、利用者を困惑させるケースも想定できる。そのため【厚生労働省、ジェネリック医薬品で規格厳守と安定供給のお達し】にもあるように、後発医薬品メーカーに安定供給を求める通知を出している。また、副作用などの情報を医師に情報公開・提供する体制の整備も課題となっている。

さらに元記事にはないが、後発医薬品は「他の製薬会社が製造した有効成分や効果などが同じ医薬品」という定義ではあるものの、「先発医薬品(新薬)と同じはずなのに、効果が微妙に違う」「新薬と同じ効果が望めない」という事例もいくつか報告されている。例えるのなら「材料・調理法・調理場所がまったく同じでも、料理人の腕や隠し味、巧みな料理法の違いにより、完成する料理の美味しさは違ってくる」というところだろう。もっと簡単に例えると「レシピを読んで料理を作っても、作り手によって味は違う」というもの。

後発医薬品を用いる場合は主治医などの第三者の意見を求めるだけではなく、ネットなどですでに使っている人の話を聞いてみたり、実際に自分で試しに服用し、これまで使っていた新薬との違いを検証した上で常用するのがよいのかもしれない。もちろん値段が安いのは非常にありがたいことではあるのだが。


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