「誰がうまいことを言えと」村上ファンドとシェークスピア

2006年06月28日 12:30

本日6月28日発売の「スーパージャンプ」(集英社)で連載されている『ザ・ファンドマネージャー』の連載コラムで、「村上ファンド」(『村上ファンド(www.maconsulting.co.jp)』など)と【阪神電鉄(9043)】の株式公開買い付け(TOB)について、ちょっと面白い話があったのでここで紹介しておく。

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ザ・ファンドマネージャー(Garbagebooksの紹介記事)は、投資信託を運用するファンドマネージャーと企業のかかわりを描いたビジネス漫画。少々オーバーな表現があるものの、一般漫画誌では数少ない投資系の連載である。その連載の直後に掲載されている原作者執筆のコラム「たしなみ日常エン会話」に、今回はTONのことが掲載されていた。

本文ではTOBそのものの説明と、先日上場廃止が決まった【オリジン東秀(7579)】や、つい先日まで話題をかっさらっていた阪神電鉄などを例にして具体的にどのような形でTOBが行われるかを解説。そしてその横に、世情風刺漫画家いとう耐氏による漫画が掲載されているのだが、その漫画に思わず「なるほど」とうなづいてしまった。

その漫画ではシェークスピアの『ハムレット』のあまりにも有名な一節、

To be or not to be , that is the question.
(「生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ」・・・というよりは「現状維持を図るべきか、事態打開のために動くべきか、それが問題だ」)


を例にあげ、阪神電鉄や阪急とTOBについて交渉を続けていた村上ファンドの心境を

To be or not to be , that is the question.

つまり

Tob or not Tob , that is the question.
(TOBに応じるべきか否か、それが問題だ)


と解釈している。さらに(いろいろな事態の進展で)「結局売らねばならなくなった村上氏」自身が『ハムレット』がそうであるのと同様に、悲劇の終幕となったとオチをつけている。

いとう耐氏がかつて講談社の週刊モーニング誌で連載していたころから、氏の社会風刺のセンスは「ちょっと(他人とは)違うぞ」ということでチェックをしていた。今回は特に「誰がここまでうまいことをいえと言った」とツッコミを入れたくなるくらい、ストライクゾーン的にはまってしまった。

村上氏にしてみれば、かつて【東京スタイル(8112)】での攻防戦で株式数、すなわち議決権の不足から半ば負けたような決着をつけられてから、「株式数の正義」に目覚め、ますますその力を過信するかのような姿勢をとるようになった傾向がある。ましてやファンドマネージャーとして「金主に大もうけさせねば」というプレッシャーもあわせ、彼の行動原理として構築された「正義」に振り回されていたのではないか、そんな気さえしなくもない。

で、あるとするのなら今回のいとう耐氏が漫画内で行った「悲劇の終幕」という表現は、例の一節の言いかえとあわせ、まことに的確なものと思えてならないのだが、どうだろうか。

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