【更新】米英の研究者「透明マント製作は可能」と開発理論を発表

2006年05月27日 07:00

時節イメージ[YOMIURI ONLINE]によるとアメリカやイギリスの科学者は5月26日、アメリカの科学誌サイエンスの電子版に「物体を見えなくする素材の開発は可能」とする論文を発表した(【原文、英語】)。この理論が実現化すれば、記事にもあるように「ハリー・ポッター」や「ドラえもん」の透明マントや『攻殻機動隊』の熱光学迷彩の製作も不可能ではなさそうである。

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攻殻機動隊イメージ記事によればそもそも人間が「モノを見る」というのは、光が物体に当たって反射したり散乱するために起きる現象。上記論文では、セントアンドリュース大学のレオンハルト教授らが「光の進む方向を制御できる特殊な微細構造を持つ複合素材を開発できれば、川の水が丸い石に妨げられず滑らかに流れていくように、光が物体を迂回(うかい)して進む」と論じ、「見えない素材」の原理を述べている。この物質が実現すれば、人間の目には何もないように見え、光が反射しないので影も出来ない。つまり「不可視性を持つ透明に見える物質」ができることになる。

教授らはまず手始めに、特定の波長に対する不可視性を持つ素材、具体的には光ではなくレーダー(つまり電波)に映らないタイプの開発に挑むという。仮に透明マントが実現すれば、軍事技術として極めて有効に利用できるため、アメリカの国防省も研究を支援しているという。

たとえば現在のステルス戦闘機は、あくまでも「レーダーに」映りにくい構造。人間の目には丸映りであるため、可視状態の同機へ(レーダー誘導型でない装備によって)攻撃が行われ撃墜されるという状況が想定しうる。仮に「不可視性物質」でステルス戦闘機をコーティングすることができれば、レーダーからも人間からも「見えない」、真の意味のステルス戦闘機ができることになる(電流を流すと作動するようにするなど、切り替え装置も必要だろう)。

これまで人間の目をだます「(熱)光学迷彩」「透明マント」の理論としては、「マントの背面にある景色を別の場所にある投影機などからマント上に投影して、視界がさえぎらないように錯覚させる」「無数の光学レンズでマントを構成して、自動的にそのレンズの背面にある景色をレンズ上に映し出す仕組みを取り入れることで、マントを着ている物質そのものが無いように見せかける」などが提唱されており、特に前者については静止物体上でなら比較的実現が容易なため、[東京大学 舘研究室の実験ページ]などで体現化され、話題を呼んだ。

かつては夢戯言としか思えなかった話も、技術の進歩がかなえば、あるいは可能になるかもしれない。そんな気持ちにさせてくれるニュースである。


(最終更新:2013/09/18)

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