日本郵政、民営化後は医療保険や介護保険、がん保険などの保険商品を独自開発へ

2006年05月07日 19:00

株式イメージ【asahi.com】によると民営化を準備している【日本郵政株式会社】は、民営化後の1会社である郵便保険会社が、医療保険や介護保険、がん保険などの「第三分野」に進出し、保険商品の開発を自社で手がける方針を固めたという。現在では簡易保険で1000万円までとされている加入限度額も、民営化後に引き上げを目指す。郵便事業を引きつぐ郵便貯金銀行でも新規事業を検討しているが、競合する現存民間金融機関やアメリカ政府などから反発が予想される。

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現在政府の元におかれている日本郵政公社は、保険・貯金・郵便すべての事業を統括しているが2007年10月には政府の下に100%「持株会社」が作られ、その持株会社が100%の株式を所有する「窓口会社」「郵便事業会社」「郵便貯金銀行」「郵便保険会社」が設立され、それぞれ別個の事業を受け持つことになる。それぞれ100%の株式を持つ完全子会社だから、事実上国営のままと変わりはない。金融機関などが行っている「なんちゃらホールディングス」と同じ形だ。そして2007年10月の持株会社設立後、「郵便貯金銀行」「郵便保険会社」の株式については、2017年3月末までに完全売却(民営化)が予定されている。また「持株会社」も政府保有が1/3を超えるところを下限として株式が市場に売却される予定。

一方保険商品は、生命保険などの「第一分野」、損害保険などの「第二分野」、それ以外、つまり医療保険や介護保険、がん保険などの「第三分野」がある。現在郵便局の簡易保険は第一分野に限られているが、民営化後はニーズが高まる第三分野に、しかも収益率が高い独自開発商品に進出する考えだという。

また銀行事業ではクレジットカード事業への参入にあたっては、住宅ローンなどに進出し、民営会社としての利点を最大限に活かすとのこと。

元記事の「内部資料」の信ぴょう性はともかく、最終的に民営化される「郵便貯金銀行」「郵便保険会社」が、他の民間会社と同じような商品を独自開発し展開するのはごく自然の流れであり、それに備えて今から準備をしているというのもほぼ真実だろう。もちろん日本全土に広範囲・大規模な事業展開をしている現状でそのまま民営化される(かつての国鉄のようにエリアごとに分割民営化されない)ことから、公正取引委員会による分割勧告の可能性があるのをはじめ、他の民間会社からの強烈な反発、さらに保険第三分野で優位に立っているアメリカ系保険会社を通じてアメリカ政府から「競争条件が同じになるまでは新商品・独自開発商品を導入すべきではない」という「意見」が行われる可能性も高い。

「このままでは採算がとれず赤字垂れ流しになる」との観測から推し進められた郵政民営化だが、諸外国の現状を見るに必ずしも成功ばかりとはいえない。後になって「よりまともな政策だった」と納得するのか、それとも「選択を誤ったのか」となげくことになるのか。現在進行形の今は、少しでも知恵を絞り良い方向へ向かえるよう、全知全霊をもって実行していくしかなさそうだ。

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