金融庁、監督強化のためリート運用の投資法人に聞き取り聴取

2006年05月07日 12:30

株式イメージ【Mainichi INTERACTIVE】が報じたところによると、日本版リート(REIT:Real Estate Investment Trust、投資家から集めた資金を複数不動産に投資する、不動産投資信託)を運用する投資法人に対し、【金融庁】が一斉に聞き取り調査をはじめたことが分かった。記事によると投資対象として組み込まれている不動産の概要や評価方法を詳しく聞いているとのことである。リートの基軸にある不動産評価が不適切だと投資家の損失につながる恐れがあるため、監督官庁たる金融庁が厳しい監督に乗り出したもようだ。

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リートは簡単に表現すると、「不動産の賃料や転売利益を会社の主軸業務」とする投資法人運営の投資信託。世間一般には「不動産賃料・転売益で利益を得る会社の株」と理解されているが、厳密には投資信託であり、企業そのものへの投資ではない。元記事では、不動産会社が物件の評価を不当に高くし、利回りが過大評価されているのではないかという指摘がなされている。不動産会社が投資法人の設立母体だった場合には事実上「投資法人自身が不動産評価を行うため、投資信託の評価を不当につり上げて高値を誘導することも可能ではないか」と懸念する市場関係者もいて、金融庁でも警戒を強めている。

実際、【金融庁、JPモルガン信託に半年間の不動産信託業務停止命令】にもあるように、金融機関の不動産評価のずさんさが相次いで指摘されるなど、懸念が現実のものとなった例もある。さらに投資法人の中には「過去に機関投資家から出資を受けた投資ファンドのうち劣化しているものをリートに振り分ける」「金融機関から多額の融資を受けているため金利上昇で配当利回りが激減する可能性がある」などの問題もあるという。

株式市場で株式と同じように売買できるリートの上場数は3月末現在で30法人。現在もいくつかのリートが新たに上場を申請している。リートは土地を担保にしていて安定性が高いように見受けられることと、配当利回りが高い(現状の株価で年利4%超の銘柄もかなり存在する)ことから、人気が高い。だが今回の金融庁の動きが本格化すれば、化けの皮がはがれるリートも出てくることだろう。その過程で「本当に価値のあるリート」とそうでないリートの振り分けが行われるに違いない。

それはリートに限らず、新興市場を含めたすべての株式にもいえることなのだが。

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