携帯電話最大の弱点も燃料電池で解決? 3倍から6倍長持ちタイプが来年にも商用化へ

2006年05月17日 06:30

モバイルイメージ[このページ(Sankei Webなど)は掲載が終了しています]によると携帯電話向けなど向けの地上デジタル放送「ワンセグ」などでますます需要が高まる携帯電話の高性能な電池について、燃料電池がクローズアップされている。従来のリチウムイオン電池の3倍から6倍長持ちするというこの燃料電池、来年にも商品化される見通しとなったのだという。

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ノートパソコンやPDAなどと同様に携帯電話でも、充実する機能を使えば使うほど消費電力が大きく、搭載電池の持ちは短くなる。単なる待ち受けモードで待機させている場合に比べ、携帯上でゲームをしたりメールのやり取りをした方がすぐに電池が消費されてしまうことは、皆さんもすでにご存知の通り。

【KDDI(9433)】の技術スタッフ曰く、「通信速度が速まれば消費はさらに進む」。便利に、セールスポイントアップのために色々機能を搭載しているのに、それらを利用すると使用時間が短くなるのはあまりにもマヌケすぎる。「長時間使えなくなるから機能封印」「予備電池や充電器を持ち歩かないと」としている人も少なくないのではないだろうか。

そこで期待を集めているのが、携帯電話用の燃料電池。最近原油の高騰で一躍注目を集めるようになった、クリーンで取り扱いが比較的簡単なメタノールから水素を取り出して、酸素と化学反応させて発電する仕組み。同じ体積なら従来の電池と比べて理論上は10倍長持ちするという。

この燃料電池について【NTTドコモ(9437)】では【富士通(6702)】と2002年から、【KDDI(9433)】【東芝(6502)】【日立製作所(6501)】と2004年から共同開発中で、2007年度中の商用化を目指しているという。また元記事にはないが、【絵で分かるキーワード 燃料電池(ねんりょうでんち)】によれば、【NEC(6701)】は去年の段階でシート状電池を試作、3年以内に連続通話時間200時間・待ち受け3000時間を3年以内に到達する目標値を設定している。

これら燃料電池による携帯電話向け電池については、現在の試作品では従来電池の2から3倍程度でしかない持ち時間を、少なくとも5から6倍にまで高めることを目指しているという。

一方現在、燃料電池に使われるメタノールは、可燃性危険物として飛行機内への持込が禁止されている。このままでは「燃料電池を使っている携帯電話は、飛行機で移動の際には荷物として別ルートで輸送しなければ」というオマヌケな状態になりかねない。だが来年1月には「燃料電池用に限り」持込が可能になる方向で調整が進められているなど、環境整備は進められている。また、販売もライターのように密閉容器にいれ、コンビニなどでの販売が想定。インフラも整いつつある。

とまぁ、近い将来実現しそうな夢の電池ともいえる燃料電池。他にも既存の電池のように充電に時間がかかるわけではない(燃料を補充するので入れ替える燃料さえあればすぐに使える)、サイズも小型化できるなど、携帯電話だけでなくモバイル端末全般で、燃料電池への期待は高まっている。

だが懸念も無くはない。既存の電池と燃料電池の使用上における立場は、いわば通常の使い捨て電池と充電電池のようなもの。1つの電池で使用できる時間は飛躍的に伸びるとはいえ、一度使い切ったら基本的に電池は差し替える必要がある。自分で燃料を補充することができれば話は別だが、少なくとも携帯電話サイズの電池では、ごく普通の人にそれを強要するのは酷だろう。

となれば、「(メタノールはともかく「ガワ」の部分で)結局は地球に厳しい商品となるのではないか」「頻繁に電池を交換する必要が出てくるので出費が増えるし面倒が増える」などの懸念材料も浮かんでくる。単に充電器に刺していれば充電できる(そして電気料金は他の家電の消費分と一緒に徴収されるから見た目にはほとんどかからないように見える)従来型と比べれば、やはり「ハイコスト」と見られても仕方が無い。

これらの問題を解決するには、電池企画の共用化と流通網の整備、燃料電池の効率化(長持ち化)とコストパフォーマンスの向上などが必要不可欠。単に「コストがいくらかかっても携帯電話の連続使用時間を増やしてくれ」というニーズだけならともかく、一般利用をする多くの人にとって、これらの問題がクリアされない限り、燃料電池の普及は見込めない。

ナンバーポータビリティの導入、搭載技術の乗数的なスピードでの向上など、携帯電話に求められる電力は飛躍的な増加を続けている。燃料電池分野での技術進展はまさに「ケツを叩かれた」状態。各社の頑張りに期待したい。

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