5月16日は「レオパレス・アーバンショック」といわれるようになるかも? 新興不動産会社での会計不祥事相次いで発覚

2006年05月17日 06:30

株式イメージ昨日2006年5月16日は東京株式市場は大きく下落し、特に後場において急激な下げを記録したが、その引き金を引いたのは【アーバンコーポレーション(8868)】【レオパレス21(8848)】で相次いで発覚した会計的な不祥事。ただでさえ、新興市場を中心に上場企業の財務諸表への不信感が高まり、耐震強度偽装問題などで不動産業界へ向けられる目がきびしくなっている昨今において、両方のファクターを含む業界による不祥事だっただけに、まさに「フュージョン技」的なインパクトを日経に与えてくれた。

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アーバンコーポレーションについては、5月15日に発表された内容が市場に衝撃を与えた(【発表リリース、PDF】)。監査法人のトーマツから財務諸表に関する監査が間に合わず、予定決算日までに手続が終わらないと報告があったことが報じられたのだ。現在具体的理由は一切告知されていないが、上場企業において決算日がずれ込むことは致命的であり、たとえ何の発表をしていなくとも「色々と」勘ぐられやすい。ましてやこの時期であれば「あらためて厳しく監査したところ、問題が見つかってその是正作業に追われているのではないか」と勘ぐられても仕方が無い。

アーバンコーポレーションの場合はまだ単に「決算発表が遅れている」というだけであり、単なる事務上の遅滞に過ぎないかもしれない。この場合、下げた同社銘柄の株価はじきに戻ることだろう。だが問題なのは昨日5月16日の場中(午後1時)に発表され、後場の急落の一因ともなった【レオパレス21(8848)】の方だ。

「過年度決算短信(連結)の訂正並びに平成18年3月期業績発表日の延期について」を読んでもらえば分かると思うが、よりによってこの時期に、入居者から徴収した84億円のうち実に47億円が、社長自らと社長の知人が経営する企業に「運転資金」として私的流用されていたのが発覚。過去5年間における財務諸表の訂正を余儀なくされた。

これは簡単にまとめると、レオパレス21が運営する賃貸マンションの利用者から徴収したサービス手数料を、「入居者共済会」で積み立てる予定だったものの共済会そのものが設立されなかったというもの(無認可共済への法規制が強まったため)。さらにそれだけではなく、集められた資金のうち17億円がレオパレス21の深山祐助社長の不動産投資に、社長の知人が経営する会社の運転資金に30億円が半ば無断で貸し付けられていた。

すでに全額返済はなされ、入居者から徴収した84億円は売上として計上されることになったため、財務諸表上の収益アップは期待できる。過去5年間でざっと売上高は84億5700万円、経常利益は85億8000万円、当期純利益は49億7300万円の増加だ。だか企業体質・コンプライアンスの問題からは評価はドン底まで落ちたといって良い。何しろ会社の資金と個人のお金を同じレベルで取扱っていたのが発覚したのだから。深山社長は創業者であるだけに、「会社の財布は自分の財布」的センスが強かったのかもしれないが、近所の個人経営の八百屋ならともかく、東証一部上場企業にそのような感覚は通用しない。

先の「ライブドア(マネックス)ショック」ではないが、後の世に「レオパレス・アーバンショック」といわれることがないように祈りたい。だが市場は結果がすべて。過去の経験則からすると今週中盤以降に日経が底値をつけるという話が広まっており、大衆心理的にもそれが実現してしまう可能性は高い。円高・ドル安や先物市場の急落なども拍車をかけている。

果たして本日以降の東京株式市場は言葉どおり「鉄火場」、あるいは「魔女の鍋」になるのか。個人投資家はもちろん、すべての市場関係者は注意深く動向を見守るようにしたい。

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