金融庁懇談会でグレーゾーン金利を撤廃し利息制限法に一本化が適当との意見大勢

2006年04月19日 06:30

株式イメージ【NIKKEI NeT】 などの報によると、【金融庁】が開催した「貸金業制度等に関する懇談会」は4月18日、利息制限法の上限金利である15から20%を超えていながら出資法の上限金利を適用することで刑事罰に問われない「グレーゾーン金利」の見直しについて、「原則は現状の利息制限法の金利に統一する方向」で意見が集約しつつあることが明らかになった。

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今件では報道媒体によって内容が微妙に異なるため最大公約数的な部分をまとめると、

・原則は現行の利息制限法にある15~20%
・少額資金を短期間で借り入れる場合のみ20%以上も認める
・15~20%という金利は現状の低金利水準に合わないという意見を提示
・利息制限法、出資法どちらを廃案にするか(&残った法律の金利を調整するか)は未決定
・消費者金融業者側は「上限金利を引き下げるとヤミ金業者に客が流れる」と反発
・金融庁は今週末にも法管所轄の【法務省】と協議に入る


ということになる(【金融庁の発表リリース一覧】)。与謝野馨金融担当相も今日の記者会見で「最高裁が判例を通じ一定の考え方を示した以上、行政府、特に立法府は真剣に考える責任と義務がある」 「どのような道筋を取ることが社会的正義にかなっているのか、常時判断していく」とし、最高裁判決をベースに、基本金利の上限を20%にする意向であることを明らかにしている。

【三菱UFJ(8306)】は[アコム(8572)]と2004年、【三井住友(8316)】も同年に[プロミス(8574)]と提携し、消費者金融事業をはじめている。また、【住友信託銀行(8403)】も[アイフル(8515)]と事業者向けローン会社を設立するなど、大手銀行は新たな収益源の確保と債権回収のノウハウの取得、大手消費者金融会社は社会的信用と業務の安定性確保、さらなる窓口の取得というメリットを得るための提携が相次いでいた。

そんな動きの中での今回のアイフルの事件と、金利引下げの方向で懇談会の指針。大手消費者金融会社はもちろん、それらと提携して新たな収益源を確保しようとしていた大手銀行も戦略を変更する必要に迫られつつある。大手消費者金融サイドでも、現行の出資法の金利が適用されなくなれば「ビジネスモデルを見直さざるを得ない」とコメントするなど、動揺が広まっている。

しかし、現行の利息制限法以上での金利が使えなくなることで「ビジネスモデルの見直しが必要」となるということは、これまで収益の根幹がグレーゾーン金利であったことの裏返しに他ならない。そのような法的にあいまいな部分を業務の主軸とした企業が一部上場をしているというのは、果たしていかがなものだろうか。もっとも構成員の口からも「(東証)一部でも三部でも借金取りには違いない」「金融監督庁でも何でも行って来い、野球の監督でも連れてこい」と認識しているのだから、さもありなん、というところなのだろうが。

5月にはアイフルの行政処分が実施され、6月には懇談会の内容が確定し指針が決定される。それにあわせる形で、消費者金融や大手銀行に、金利に関する動きが相次ぐことだろう。前者については業務形態の変更もありうるかもしれない。

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