炭酸飲料は肥満の原因か否か、アメリカで大論争中

2006年03月13日 08:30

炭酸飲料イメージ[このリンク先のページ(Cnn.co.jpなど)は掲載が終了しています]によると、肥満が国民病とも言われているアメリカにおいて、「炭酸飲料原因説」が注目を集めているという。炭酸飲料の摂取量と肥満との相関関係を示す研究結果が相次いで発表され、タバコと同様に健康被害の警告表示を義務付けるべきだとの主張もある。当然のことながら、この動きに対し飲料業界は激しい反論を展開している。

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記事によるとアメリカ人が摂取するカロリーの20%(仮に一日2000Kcalだとすれば400Kcalほど)は飲み物が占める。炭酸飲料など砂糖を含む清涼飲料水が肥満に大きく関わっているという説はこれまでも何度と無く浮上してきた。

専門家の調査では1977年からの20年間で清涼飲料水・乳飲料の消費量は成人で1.6倍、子供で2倍に増加し、肥満の増加率もほぼそれに等しい値で増えている。また別の調査では、甘い清涼飲料水の飲む量を1日1本増やすと、肥満になる確率が60%も増加するという。この結果を受けて、「ファストフードや清涼飲料水には肥満税をかけるべきだ」と主張する医師もいる。

成分の面からの指摘もある。清涼飲料水の甘味料には、砂糖と違って満腹感を感じさせる働きがないため、「甘くてカロリーが高いのだが腹がいっぱいにならず、たくさん摂取してしまう」という点もあると指摘されている。

さらに「炭酸飲料を大量に飲む人」は「ファストフードの利用が多く」「野菜の摂取が少ない」という傾向もあるという。デフレスパイラルならぬファットスパイラル状態というわけだ。

ファットスパイラル
ファットスパイラル

肥満は一般的に悪しきものであるから、「清涼飲料水」≒「肥満」というレッテルを貼られては困るグループもいる。>【アメリカ飲料協会(The American Beverage Association)】のリチャード・アダムソン氏は上記の主張を否定し、別の研究者による調査結果を挙げて「肥満の主な原因は運動不足と不健康な食生活。炭酸飲料のせいだという確かな根拠はない」と断じている。

こういう善悪論になると必ずAll or Nothing、「完全黒でなければ全部シロ」という結果でしか導き出そうとしないのだが(そのような論法にもっていくことこそが詭弁、というか論述的なテクニックなのかもしれないが)、何も「清涼飲料水を飲むと必ず肥満になる」というワケではないし逆に「清涼飲料水を飲みまくっても全然肥らない」というワケでもないだろう。要は、「清涼飲料を飲むことで糖分を多分に採るとその分肥満になりやすい、肥満の一因になる。だから注意しましょう」ということでしかないのに。

ダイエットのコラム(【[食事]ジュースと砂糖】)でも触れたが、一般的な炭酸飲料にはかなりの糖分が含まれている。

「重量の10%前後の糖分、砂糖が入っている」という言葉がある。例えば500ml入りのペットボトルジュースなら、50g前後の砂糖が入っている計算だ。成人男性で望むべき一日平均摂取量は20g前後といわれているので、ゆうに2日分以上を1本で摂取してしまうことになる。


今元記事を読むまで知らなかったのだが、「清涼飲料水などの甘味料として使われる『高果糖コーンシロップ』には、砂糖などと違って満腹感を感じさせるホルモンの分泌を促す働きがない」となれば、単なる砂糖の摂取以上に採ってしまう可能性も高いわけだ。

さらに調べてみるとアメリカ飲料協会自身も昨年2005年の8月には、子供の肥満への配慮として学校で販売する飲み物の自主規制(小学校は水と100%ジュースのみ、中学校は授業時間内はこれらのほかスポーツドリンクやカロリーを控えたダイエットタイプの飲料のみ販売、高校は販売する飲み物を多様にし、炭酸飲料は半分以下に抑える)を行っている。

ABAにしてみれば「確かに清涼飲料水は肥満の一因かもしれないが、清涼飲料水イコール肥満ってわけじゃないじゃん! 第一そんなレッテル貼られたら売上落ちるヨ!」というのがホンネとしてあるのだろう。そのような誰にでも分かる意固地な反論をするくらいなら、もっと健康的な清涼飲料水の開発と販売促進にいそしめばよいと思うのだが。

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