スパムメールからの分析……不安を薬で解消する海外事情

2006年03月12日 18:30

錠剤イメージ国内外を問わず毎日数十件の規模で送られてくるスパムメール。ウイルスの類を除き勧誘メールに限ってみても、日本語のものと英語のものとでは傾向がまったく異なる。日本語の場合は出会い系や詐欺商法のものが多く、海外からのものはコピー商品(特にソフトウェア)や処方箋の要らない薬の購入をうながすものがほとんど。共通するのはフィッシング系くらいなものだ。

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英語のスパムメールまで細かく中身を確認するほどヒマではない。だが、スパムかどうかを判断するためにざっと見をする必要はあるわけで、それらを読むと一番多いのがくだんの「男性機能不全対処薬」である「バイ●グラ」。確かに人間の基本欲望の一つで、副作用はさておき効果もあるというのだからニーズも高く、「売れるだろう」と目論む人らが多いのも納得(近隣諸国では品質のよろしくないものが国家事業として量産されているという話も聞く)。これだけ大量に来ると、英語のスペルも覚えてしまう(苦笑)。

他にも色々「それらしい」単語が羅列されているが、どうも自分の知識ではふに落ちないものばかり。「Somaって仏教用語だよな」「Valiumってレントゲン撮るときに飲む奴だろ」「Xanax……確か昔そんな名前のシューティングゲームがあったような。今でもスポーツ系のブランドでなかったっけ?」というところ。こんな薬があるのだろうかと、ざっと調べてみたのだが。

Valium(バリウム):抗不安剤。日本ではセルシン、あるいはホリゾン。
Vicodin(ビコディン):麻酔性鎮痛剤。
Soma(ソーマ):抗不安剤、骨格筋弛緩薬。
Xanax(ザナックス):抗不安剤。日本ではコンスタン、あるいはソラナックス。
Alprazolam(アルプラゾラム):抗不安剤。クロナゼパムなどと共に有名。


すべて精神的な不安定や落ち込みに対処するためのお薬。スパムメールに記載されている他の薬も多かれ少なかれそれ系のものばかりだった。あまりな結果に思わず唖然。

実際、インターネット上の広告出稿側から見た、人気の高い検索キーワードのトップテンを見てみると、

1:cheap alprazolam
2:buy xanax online
3:xanax
4:valium online
5:buy valium
6:buy alprazolam
7:order valium online
8:order xanax
9:generic xanax
10:valium diazepam


と、上位は精神対処薬に関するものばかり。

これらの薬が過剰生産されすぎて在庫処分セールを数年にわたって行っているという話は聞いたことが無い。ということは、海外ではそれだけ多数のニーズがあり、市場が形成されていて、だからこそ同系統のスパムメールも山ほどくるということなのだろう。需要あるところに供給あり、市場あり。供給だけでは(よほどうまくやらないと)需要と市場は創られないからだ。

精神に作用する薬の需要供給が多い(株式用語なら「出来高が大きい」)という推測がスパムメールから成り立つことになる。そうでなければ、数年もこれらの状況は続かないだろう。

簡単にまとめると「スパムメールや広告出稿の上位を精神対処薬が占める」「それだけ供給があるのだからニーズがある、つまり大きな市場が存在する」「よって大量の精神対処薬を求める人が英語圏には存在する」ということに。

だがよくよく考えて見ると末恐ろしい気がしてきた。西欧諸国って、そんなに精神的に病んでいる人が多いんだろうか。大きな社会問題になっているとは思うのだが。

もちろん「スパムメールでその国の実情を推測するのなら、日本では出会い系やフィッシング系の商法が蔓延しているのではないか」ということになってしまう。……しまった、完全に否定することはできないではないか(苦笑)。

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