ライブドア事件があったからこそ……株式教育の関心高まる

2006年03月01日 08:30

[このリンク先のページ(tokyo-np.co.jpなど)は掲載が終了しています]によると、一連の【ライブドア(4753)】事件をきっかけに株式への世間の風当たりが強まっているが、逆に学校教育現場では株式学習への関心が高まりつつあるという。「教育現場でお金の話を教えるのは不謹慎」という古臭い考えもあるが、「不祥事があった今だからこそ、子供たちに正しい知識を教えるべきだ」という声もあるという。

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記事では愛知県のある中学校で行われている、【東京証券取引所】【日本証券業協会】が提供する学習教材を使った「株式学習ゲーム」のようすがレポートされている。1000万円の仮想所持金を元手に株式の模擬売買を行うというもので、一定期間後に所有株式の時価と所持金残高を合わせた資産がいくらになったかで投資の成果を競い合う。金のやりとりは架空(当然)だが、使われる株価は現実の株価が反映されているので、社会実情にマッチしたリアルな体験ができるという特徴がある。

生徒は花粉症が流行りだすだろうから製薬会社を選んだりなど、本物の投資家顔負けの選択眼で銘柄を選んでいく。アメリカ産牛肉のBSE問題を真正面から説明されても「?」マークが頭に並ぶが、身近な牛丼屋の例をあげて先生が説明すると生徒も乗り気だという。先生曰く「生徒たちの身近な話題と社会・経済情勢を、いかに結びつけて話ができるのか。この授業では教える側の意図や姿勢も問われる」。

レポートでは期間中の最高資産額は1106万円で1割ほどの儲けが出た。一方で最低資産額は850万円。元本割れは半数近くに及んだという。この結果に対して先生は「株で大儲けすることがある一方で、大きなリスクも伴う。株にはハイリスク、ハイリターンの面がある。それを分かってもらえれば」と、成果のほどを実感しているという。

例に挙げた現場ではそれなりに効果が出ているようだが、アメリカではすでに1970年代後半から投資教育が学校で行われており、毎年65万人が参加。日本では1995年にスタート、10年間で延べ42万人に過ぎず、教育現場における経済教育の普及度はまだまだ低いというのがうかがえる。

問題点としては、「教える教師側が元々株式について何にも教えられていないため、人的資源が決定的に不足している」「株は悪いことだという発想を覆す必要がある」「順法精神などを身につけさせるべきだ」などがあるという。

株式を利用した悪質なマネーゲームは批難されるべきであるが、株式やその取引自身を否定したのでは、資本主義経済そのものの否定ということになる。また、教育というのは一朝一夕に効果が出るものではなく、十年単位で立案し、効果を望むべきものだ。今からでも遅くはない、言葉のあやかもしれないが、「投資教育に投資をする」べき時なのだといえよう。

なおこの「株式売買ゲーム」は今年で10周年を迎え、シンポジウムが2月25日に開催されている。現場レベルの人たちによる盛んなディスカッションも行われたようだ(【参考:Fuji Sankei Business i】)

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