NEC(6701)、完全子会社が400億円近い売上を水増し、大規模虚偽記載発覚

2006年03月22日 13:00

【NEC(6701)】は3月22日、同社の100%子会社で連結決算対象の【NECエンジニアリング】において、2002年3月から2005年12月までの間に架空取引が行われ、売り上げて363億円、営業利益で93億円の影響が生じることを明らかにした(【発表リリース】)。

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リリースによれば昨年2005年12月にNECエンジニアリングの従業員が架空の仕入れ・売上を計上していたことが判明。NEC本社で調査チームを編成し調査したところ、「実際に取引の対象となる物の移動があるかのように見せかけて、仕入先、NECエンジニアリング社、販売先の3者間で取引を循環させ」ていたことが明らかになった。架空取引の回数は4年間で200回ほどとのこと。

架空取引そのものについては

・仕入先、販売先から確証を入手していたこと
・社内での手続きに必要な書類をこの従業員が偽造して取り揃えていたこと
・売上の入金が販売先から予定通り行われていたこと


などを理由にあげ、昨年まで架空取引であることが認識できなかったという。

今件による影響額は総額で売上高ベース363億円、営業利益93億円。100%親会社であるNEC本社も当然のことながら影響を受ける。このため、過去の財務諸表につき、訂正を行う予定とのこと。

なお今件につきNEC側では

今回の架空取引は、NECエンジニアリング社の一従業員により行われたもので、書類を偽造するなどの違法行為に加え、この取引を通じて多額の金銭を着服していた事実も判明しております。このような事実を踏まえNECエンジニアリング社は、この従業員に対し刑事告発等を行います。


とし、会社ぐるみ、あるいは複数のグループによる犯行ではないとしている。また一部報道では「多額の金銭の着服」について、5000万円という具体的な数字を上げていると共に、該当従業員は「当初、部門の赤字を埋めるために、その後は自分の業績を良くみせるために架空取引を行った」と述べているという。

たとえ子会社の犯行であるとはいえ、営業利益ベースで93億円の額は非常に大きい。かの【ライブドア(4753)】における同様の件においては、約53億円であることを考えるとその倍近く。ちなみに東証はライブドアの場合この額による起訴があった時点で上場廃止を断じている。

今回はNEC側の主張としては「個人によるもの」としている。そこがライブドアの場合とは大きな違いがある。が、個人による単独のものであるとすればそのような管理体制・数年間も巨額の架空取引を見抜けなかった体制に重大な問題があるし、もし仮に個人でなければライブドア同様に「会社ぐるみ」と受け取られても仕方の無いことといえる。

東証の上場廃止基準には「有価証券報告書等に「虚偽記載」を行った場合で、その影響が重大であると当取引所が認めたとき」という一文がある。今件はNEC側の主張通り個人によるものだとしても、結果的に虚偽記載になってしまった以上は、整理ポストはともかく監理ポスト、少なくとも開示注意銘柄に指定するべきではないだろうか。100億近い営業利益が水増しされていた以上、「影響が重大ではない」とするには無理がありすぎる。

そうでなければ「何でライブドアなどが上場廃止で、その倍近いNECは開示注意銘柄にもならないのか」という不公平感が投資家の間からわきあがってくるに違いない。

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