「風車 回るは 想いの空回り」風力発電の風車が回らずつくば市が計画立案の早大を3億円の損害賠償請求提訴へ

2006年03月18日 14:00

【asahi.com】によると茨城県つくば市が【環境省】のモデル事業として小中学校に設置した発電用小型風車が回らずほとんど発電していないとし、同市は3月17日、風車設置の基本計画とシステム設計を担当した早稲田大学に対し、風車23基の設置費用2億9860円の損害賠償を求めて提訴することを決めた。すでに市議会本会議に提訴に必要な議案を提出し可決済み。4月上旬にも実際に提訴するという。

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記事によるとつくば市は2004年10月に早稲田大学に発電量などの調査を委託し、それを元に風車23基を設置した。問題は設計と実際に設置された風車の違いにあり、早稲田大学側では回転部分の直径15メートルの大型風車を前提に調査をしていたが、市が実際に導入したのは5メートル程度の小型風車だった。

風車が有効に働いていない、まわっていないとの指摘を受けて市民団体が調査した結果、稼働率は大幅に予想を下回り、マヌケなことに「風車を動かし始めるのときの消費電力が発電量より多い」、つまりまったく発電しないどころか電力を消費する一方であることが判明した。

この件について市側では

・調査結果と一緒に風車の図面を早大側から渡された。
・早大が示した発電量が、市が導入した風車と異なるとは知らなかった。
・数字を修正しなかったのは債務不履行にあたる。


としている。一方早大側は

・事前に説明しており、市は違う風車だと知っていたはず。


と反論し、意見の食い違いを見せている。なお当初は3年間で75基設置される予定だった風車は23基の設置で中断されている。別の報道では環境省が1億8500万円を補助しつくば市が1億1500万円を支出したとのこと。

市では風力発電で環境教育や売電を計画していただけにその計画が果たされず、失望感をあらわにしている。つくば市市長も「早大に誠意ある対応が期待できないので裁判以外に解決方法がない」と断じている。一方早大は「問題解決に向けて誠意を持って話し合いをしたいと申し入れていただけに残念」としている。

お互い「風が吹かないから悪い」といわないだけまだ大人だといえるだろう(苦笑)。両者間で交わされた契約書の内容が公開されていないので詳しいことは分からないが、とはいえ「数値の前提となった風車と実際の風車とで大きさが違うのは市も知っていたはずだ」という早大側の主張を読む限りでは「はずだ」という文言を用いている限りにおいて、早大側が多少不利なように思われる。

なぜなら、つくば市は「実際に設置する風車の効果を事前にリサーチするべく早大に依頼した」のであり、何も「設置する数倍の大きさの風車によるデータ」など必要としないことは一目瞭然だからだ。大げさに例えるのなら、100トンクラスの漁船に何本ドラム缶を積んで原油が運べるかを試算してくれと言われたのに、数万トンクラスのタンカーでならこれくらい、という結果を提示したようなもの。

企業同士の契約やビジネスならこのようなミスは滅多に無い。大学と官公庁という関係がゆえにおきた意見の食い違いなのかもしれない。本来ならこのようなやり取りでは、今件のようなトラブルが無いよう、ビジネスの専門家によるコーディネートが必要不可欠なのではあるが。

閑話休題。それにしても23基で3億円とは少々高すぎはしないだろうか。単純に割り算すると1基あたり1300万円強もする。初期外部設備を別にしても恐らく1基あたり1000万円前後はかかっているのかもしれない。一方、先に紹介した「エアドルフィン マークゼロ」は1基50万円足らず。モデルケースとしてなのだから売電よりも環境教育教材として用いるのなら、エアドルファンをおいた方が安上がりで効率的な気もする。


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【個人宅用小型風力発電機「エアドルフィン マークゼロ」発売】

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