作りすぎで「捨てた牛乳100万本」、今後その10倍の1000万本になる可能性も

2006年03月20日 08:30

牛乳イメージ[このページ(Sankei Webなど)は掲載が終了しています]によると、【ホクレン農業共同組合連合会】では3月18日から、1000トン(通常の1リットル紙パックに換算して100万本相当)の牛乳の廃棄を始めた。生産過剰で健康ブームに乗り遅れた形の牛乳が大量にあまり、余った牛乳を加工処理する工場がフル稼働しても追いつかない状況だからとのこと。さらに今後、春休みで給食が無くなる関係から最大でその10倍の1万トン以上が廃棄処分される可能性があるという。

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ホクレンによると1000トンの牛乳廃棄処分の費用は約2000万円。ホクレンでも【農林水産省】でも、こんなことは初めてだしもったいないという。記事ではホクレン以外でも、他の農家においても牛乳の供給過多状態が続いている状況が説明されている。

牛乳のだぶつき現象の最大の原因は「牛乳は栄養豊富、だから肥る」というイメージが先行していること。対前年同期比で、豆乳108%、お茶系飲料104%、スポーツドリンク111%、ミネラルドリンク106%と、健康系飲料の消費量はすべて伸びているのに、牛乳だけが93%と落ち込んでいる。

【日本酪農乳業協会】では対策の遅れを認めると共に、例えばイソフラボンやカテキンのように、大人にも飲んでもらえるよう、健康に直結するイメージ作りで消費を拡大したいとしている。

このように消費が落ち込みである一方、生産は2005年9月から増加を続けている。牛乳そのものは長期保存が難しいため、消費されなかった場合脱脂粉乳やバターに加工されるが、現在加工工場をフル稼働させて一日500トン以上の牛乳を処理しているものの、牛乳の量が多くて間に合わない状態。さらにくだんの【雪印(2262)】以来加工乳の消費は激減、バターもパンの需要が落ち込むと共にニーズが減り、結果として比較的長期保存可能な状態の脱脂粉乳とバターの在庫が積み重なる結果に。2006年1月現在で6か月分、11万トンが在庫として残っているという。

今後「最大消費先の学校が春休みで消費されなくなる」「暖かくなると乳牛がたくさん牛乳を出すようになる」など複数の要因から、さらに牛乳余りの状況が予想される。かといって乳牛から牛乳を搾らないでいると、牛が病気になるため生産しないわけにもいかない。ホクレンのような団体だけでなく、【JA(農業共同組合)】や農林水産省でも、危機的状況として対応策に苦慮している。

元記事の上部バナー広告をはじめ、「毎日3回からだにいいコト 3-A-Day 牛乳・ヨーグルト・チーズをどれでも自由に1日に3回、食生活に取りいれようという食生活改善運動。キレイと元気が、届きます」という、日本酪農乳業組合による【3-A-Day】のバナー広告をここ最近よく見かけるようになった。アンパンマンのやなせたかし先生のイラスト付きだったので何となく気にはしていたのだが、今日はじめて具体的内容を見て、今回の「牛乳余り現象」とのつながりを再認識した次第。

牛乳は個人的にも好きでかつては牛乳はもちろん乳製品もよく食していたのだが、治療過程の食事制限の関係でたんぱく質をひかえねばならないことから、牛乳はおろか乳製品を積極的に摂取することができなくなった。それだけに、このような事件(?)が起きていることにびっくりしている次第。

「保存できない牛乳が余っているのなら加工すればいいじゃん」という安易な発想も「加工が追いつかない」「加工品そのものもだぶついている」ことから、あまり有効な解決策には至っていない状況。廃棄はあまりにももったいないので、何かもっと有効に消費されうる商品の開発や、消費そのもののかさ上げが必要不可欠となるのだろうが……。一、二か月といった短期では難しいだろう。何かよい方策はないものだろうか。

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