スパムメールの採算ベースは「返信率0.001%」、10万通で1通釣れれば儲けが出る!?

2006年03月02日 07:30

インターネットイメージ【INTERNET Watch】において、スパムメールに関するワークショップが開催され、その中で行われた京都大学でスパムメールの研究を進める高倉弘喜助教授による公聴のレポートが掲載された。その記事によると、スパムメールの採算ベースは「返信率が0.001%」だという。

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講演ではまず、【もうSSLの有無では判断できない!? 本物のSSL証明書を持つフィッシング・サイトが出現】にもあるように正規SSL証明を取得してまで本物のウェブサイトに似せたフィッシングサイトをつくり、詐欺行為を行うものも出てきていることを紹介。他に、特定ニーズターゲットに対して資料提示を装い、キーロガーのダウンロード・インストールを企てようとするタイプもあるという。

また、ボットPCによるスパムメール配信の増加や、プロバイダーの各種対応にも対応して潜り抜けるような、まさに「いたちごっこ」的な現状が報告された。そしてそのいたちごっこに追いつけない(例えばウイルスソフトの定義ファイル更新を怠るなど)人たちが被害を受けやすいとのこと。

興味深いのはスパムメールの経済性が具体的な数値として表されたこと。スパムメールが絶えないのは、採算性が高いからだという。試算では返信率が0.001%、つまり10万通に1通がだまされて支払い行為などを行えば割りがあう。具体的には次の通り。

PCが10万円、プロバイダー料金が月額4,000円、1億件のメールアドレスの相場価格が10,000円、その他の経費を含めて20万円を初期投資金額と想定する。アダルトサイトを運営している業者が2~3万円の課金請求することを目的にスパムメールを送った場合、7~10人が騙されて料金を支払えば初期投資分は回収できるという。


もちろん犯罪行為に対するリスクは計算外だが、それでもこの数は「ビジネス」としては魅力的であり、いくら規制を強化しても根絶するどころかますます増大するのも理解できる。スパムメールに関する法規制ひとつとっても、規制の無い国から発信されてしまえば手が出せない。高倉助教授も「採算が取れるうちはスパムメールの根絶は難しい」と語っている。

違法・不当行為がなければ、インターネットによるビジネスはローリスクなものとしても促進されるべきもの。だが相手のことを考え相手が喜び役立ち、かつ自分の儲けが出る商品を提供するのが商売の基本であることは、たとえインターネットビジネスにおいても変わるところはない。スパムメールやそれを用いての詐欺行為が「儲かるから」と興味を持っているのなら、止めることを強くオススメする。魂を汚すような行為は慎むべきだ。

でも、「悪事千里を走る」ともいうしなぁ……。

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