職務怠慢かおごりか……誤発注にみる人為的ミスから浮かび上がる売買管理の改善急務

2006年01月16日 08:30

【Fuju Sankei Business-i】において、先日発生した【大和証券SMBC】による誤発注などを例にあげ、相次ぐ証券会社の誤発注やそれに関連する問題点への指摘が記事にされた。

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すでに報じた通り大和証券SMBCの誤発注は先の【みずほ証券】の件と違い、発注そのものはありえない数字ではなかったため、第三者が誤発注であるとは気がつきにくかったという。これまでの誤発注と同様システム上の警告はなされたが、十分な確認をせずに注文を発注するなど、「取引優先」や「作業の慣れによる業務への慢心」など、証券会社業界全体における売買管理上の問題が浮き彫りにされている。

大和証券SMBCでは売買単位の1000倍を超す株数の注文には警告を発するシステムがあるものの、今回はその時点で再確認をせずに注文が行われてしまった。場が開ける直前で忙しかったとはいえ、確認を怠るという怠慢さ・慣れが悲劇を起こしてしまったことになる。

人間誰しもミスはある。そのミスを機械がサポートし、ミスの可能性があるものには警告を発して人間にそれを気づかせてくれる。とはいえそれに慣れてしまって警告を無視したのでは何の意味もない。

記事でも指摘されているが、情報の開示そのものは評価できる行為ではあるが、それにより「実は誤発注は年がら年中起きているのではないか」という一般投資家の心配、懸念が現実のものだと認知されるようになってしまった。このような流れは個人情報保護法絡みのものと似ていて興味深い(法の施行によりそれまでは表ざたになっていなかった、個人情報の漏えいが実は頻繁に起きていることが明らかになってしまったということ)。

分野は違うが情報漏えい事件の6割はシステム上の問題やウイルスではなく、社員による単純な紛失や誤送信だという調査結果が出ている(【ウイルス・不正アクセス対策よりも社員教育を、2005年情報漏洩事件の6割は「紛失/誤送信」:Japan.Internet.com】)。機能増強にはシステムの強化などハード部門やプログラムなどのソフト部門への注力は必要不可欠だが、機能の精密さ・確からしさを上げてより信頼のおけるサービスを提供できるようにするには、(一見数字として算出はしにくいが)社員への教育やモチベーション・モラルの向上などが欠かせないのではないだろうか。

その一方、証券会社やお偉さんも常日頃から一般投資家に何度と無く説明している通り、「投資はあくまでも自己責任・自己判断で」が原則。誤発注であったとしてもそれは発注に変わりは無い。誤発注を行うのは何も証券会社だけに限らない。個人投資家とて数限りない誤発注をしているが、それらが救済されたという話は聞いたことがない。どんな条件であろうとも、「誤発注だから今のなし」という、将棋でいえば「待った」は通用しないということを忘れてはならないだろう(もちろんみずほ証券の時のように、システム上の不具合から自己意思によるリカバーが効かなかった場合はそうとも言い切れないところもあるが)。

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