楽天ポイント問題、大手新聞でも掲載始まる一方で対応の混乱続く

2006年01月12日 08:30

昨年末から開催されていた楽天(4755)におけるポイント取得キャンペーンに伴うトラブル問題(詳細は【楽天(4755)、キャンペーンで付与した買い物可能なポイントを一旦取り消す】を参照)だが、1月11日以降ようやく一部新聞でも報じられ、世間一般にも今件が伝えられるようになった。一方で今件についていまだにIR部門からは正式なリリースが流されていないなど、楽天自身においては今件をいまだに「楽天」的に見ているフシがある。

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新聞媒体では、諸般の事情で該当紙の画像を掲載することができないが、11日では朝日新聞の夕刊(「楽天ポイント"失点"」)、日刊ゲンダイ(「楽天市場 そんなのアリか!? ポイントで買い物したら現金請求される」「ポイントで買っても現金請求 楽天大チョンボ」)での掲載が確認されている。大手情報配信会社の共同通信で報じられたこともあり、今後大衆週刊誌をあわせさらに掲載紙の数は増えていくものと思われる。

楽天のIR部門やプレスリリース部門から正式な発表がなくいまだに「楽天市場」における「お知らせ」や顧客へのメール対応などに留まっているということは、楽天側の現場及び現在においても事態の把握と対応の模索に窮していることがうかがい知れる。実際今件が楽天そのものだけではなく、楽天市場でネットショップを運営している各店舗にも関連しているだけに、対応策が統一されていないようだ。おそらくは統一指針を楽天側で確定する前になし崩し的に現場サイドで、その場その場で対応しているのだろう。

今件のようなトラブルが生じた場合、通常なら事前に制作され関係者に配布され、内容の習得を義務付ける危機管理マニュアルが存在し、それに基づいて行動することで対応が規格・統一化され、混乱を最小限に抑えられる。ところが今件ではその「統一性」が見られない。可能性としては(存在しないということはないだろうから)マニュアルそのものが不十分なのか、あるいは去年流行した「想定の範囲外」だった可能性もある。

1月12日の段階で、一部特定条件下における会員には「ポイントの取り消しの取り消し」が行われているようだが、まだ大部分は引かれたまま。割引や現金決済の代わりとなるいわば「金券」としての付加価値が得られるポイントが、一時的とはいえ「マイナス」として各利用者に告知されるのはいかがなものかという意見も多い(さらに楽天ポイントには「使用期限つき」「期限制限なし」の2種類が存在するが、今回「とりあえず」差し引かれたポイントと戻ってくるであろうポイントの差、使用期限の問題をどうするのかなど不明点も多い)。また、ポイントを利用した各出店店舗の対応もまちまちで統一性に欠けており、それが顧客の混乱と噂の拡大に拍車をかけている。

さらに今件をきっかけに、

・楽天市場の店舗向け詳細マニュアルが誰にでも閲覧できる場所(インターネットのサイト上)にアップロードされている
・店舗向け詳細マニュアルサイトにおいて「昨年夏の情報漏えいに対応する形で個人情報のうち、クレジットカードやメールアドレスなどが店舗側では見られなくなる」と一般には説明していたにもかかわらず、今現在においても「店舗を利用した顧客の個人情報(クレジットカード番号、住所、氏名、電話番号、メールアドレスなど)も閲覧可能」と説明している
・今件のトラブルにおいてポイントの差し引きの調整のためにクレジットカード決済額を無断で引き上げられたという報告(複数あり)


などさまざまな問題が指摘あるいは確認されている。

なおこれらの点については、個人情報保護法や消費者契約法、不当景品類及び不当表示防止法、特定商取引に関する法律、刑法の電子カード関連部分(第163条2項以降「支払用カード電磁的記録に関する罪」)などに抵触する可能性も指摘されている。また、ポイントの取り消しについては楽天の会員登録の際の規約に「楽天側の事情で一方的に取り消す場合もある」旨記載されているが、そもそも法律に反する契約は基本的に無効になるので、この法的に問題のある行為と見なされれば、楽天側の理屈は通らなくなる。

事態の早急なる究明(とはいえ「原因」は明らかなのであとはいかに「対処」するかだが……)は当然のこととして、楽天市場のような構造下においては、一刻も早く楽天本体における統一見解と対応策を決定し、それを可能な限り一般公開すると共に各出店店舗に徹底することが必要不可欠といえよう。

楽天市場に限らずすべてのEC系ポータルサイトにおいては、サイトの運営本体(この場合は「楽天」)は、このような事態が発生した際に迅速かつ的確な統一対応を行う義務がある。そうでなければ、常日頃各種の「手数料」を各出店店舗から徴収する意味は無く、単なる「ピンはね」と糾弾されても反論はできないだろう。

また今件の対応如何では、楽天(市場)そのものはもちろんのこと、他のインターネット通販サイトそのものへの不信感も助長することになりかねない。他のEC系ポータルサイトはもちろん、中小の独自運営をしているインターネット通販サイトも楽天の対応を傾注しているものと思われる。


日付をつけた上での、今問題を取り上げている法人系ニュースサイトの一覧は次の通り。なお同一日における順番は不同。

■1月10日
【楽天、キャンペーンで付与したポイントを一旦取り消す(INTERNET Watch)】
【楽天ポイント騒動、キャンペーン付与分は全部取り消し--商品購入分の請求も(C-NET Japan)】
【「楽天市場」ポイントキャンペーンでユーザーに混乱(IT Media)】

■1月11日
【楽天ポイント、大量取得続出で混乱 キャンペーンを休止(asahi.com)】
[このページ(Sankei Webなど)は掲載が終了しています]
【楽天がキャンペーン中止 ポイント不正取得続出で(共同通信)】
【楽天 ポイント現金請求の大チョンボ(GENDAI NET)】
【楽天ポイント大騒動、キャンペーンで不正取得が横行(ZAKZAK)】

共同通信が報じたことで、同社からニュースを契約で受け取っている各地方紙サイトなども一斉に取り上げ始めている(それらについては内容がほぼ同じなのでここでは省略)。


■戯言追記:
今回の楽天ポイントの不具合が、名作ロールプレイングゲーム『ウィザードリィ』においてキャラクターを作る場所「ギルガメッシュの酒場」における裏技と同じ、という指摘があった(【参照:にう・てんくんとこ】)。これは捨てるつもりのキャラクターを作って初期装備やゴールドを身ぐるみはいで他のキャラクタに渡し、キャラクタを消すアクションを繰り返すというもの。

楽天ポイントは他アカウントへの譲渡ができないという点でこそ違えど、ポイントを使えるという意味ではほとんど同じだったことになる。要は、このようなやり口ははるか昔から存在しており、思慮深ければ事前に気がついているはずだということに他ならない。


(最終更新:2013/09/04)

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