日経、IBダイワ(3587)の記事内容の偽装訂正書き込みに対し2ちゃんねるに削除要求

2006年01月14日 14:14

株式イメージ【NIKKEI NeT】は1月13日に日本経済新聞社が、【2ちゃんねる(【3587】IBダイワpart53【ガス吸って意識不明続出】)】の中で日経の名を語って同日の朝刊記事を訂正するとの虚偽の書き込みに対し、削除要求をしたことを明らかにした。訂正するとした元記事はアイ ビー ダイワ(3587)の株式に関するもの。

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元々はNIKKEI NeTに12日の夜、次のような記事が掲載されたのがきっかけ(日経新聞にも掲載済み)。掲載場所は【ここ】だが、なぜか現在では最後の段落が削除されている。

監理ポストのIBダイワ株、売買高全市場で2位

12日のジャスダック市場で、監理ポストのアイビーダイワ株が大商いとなった。 売買高は前日比約4倍の7149万株と新興3市場で断トツの1位、東証などを合わせた全市場でも三洋電機に次ぐ2位だった。売買代金もジャスダック3位の197億円。活況相場を背景に値動きの軽い中低位銘柄に短期資金が集中した格好だ。

IBダイワ株はこの日、値幅制限いっぱいとなる80円高の292円で取引を終えた。 材料視されたのは11日に発表になった2件の情報開示だ。午後3時17分の「海外子会社が米で生産可能と判断できるガス田の存在を確認した」と、午後9時46分の「業績予想の修正」だ。

同社は経営陣が対立していた昨年1月、 「社長交代」と「社長交代は無効」との発表をそれぞれ同じ日にし、情報開示が不適切だとして同年2月から監理ポストに割り当てられている。 取引所の判断次第では今後、上場廃止となる可能性がある。なが多、イチヤなど他の中低位株も商いは高水準。「相場上昇が続き、利益を得た投資家の一部は損失が出ることも覚悟して値動きの激しい銘柄を買っている」(丸和証券)という。


実際同銘柄は11日・12日と出来高を伴った急上昇を続け、12日の終値は記事通り292円の値で場を終えている。また、記事にもある通り、経営陣の対立があったことや情報開示が不適切であるとして監理ポストに割り当てられたことも事実である。

ところが同銘柄はまさに13日の金曜日、ポジティブファクターとなるニュースや人気に当て込んで株主となった投資家などを青ざめる値をつける。始値こそ282円をつけたものの高値はそれからわずかに2円高の284円、一時は234円もの安値をつけ、終値は247円と前日比で45円安の大幅安となった。

(アイビーダイワの直近一か月の株価と出来高動向……ライブドアファイナンスから)
アイビーダイワの直近一か月の株価と出来高動向……ライブドアファイナンスから

前後して俗に言う「仕手系」や有料会員制の情報サイトでは同銘柄の「情報」が流され、「筋」が介入したなどの煽り・語りが報じられ、(ポジティブファクターとなった情報の信憑性はともかく)、「マネーゲーム」の対象にされたのではないかという意見が多数見受けられた。それらの情報では上記記事が多数引用されたため、個人投資家の中には今記事をして「煽り材料に使われたのでは」「単なる観測記事を事実と混ぜて報じるとは」「むしろ市場の不安定化を助長している」という批難もあった。

そのような中、「2ちゃんねる」のIBダイワ関連の掲示板に次のような書き込みが行われた。日経新聞からの転載の形をとったこの書き込み、後で判明するのだがまったくのフェイクだった。

406 名前:日本経済新聞社 投稿日:2006/01/13(金) 19:14:42 ID:2pXQM6wg
弊社1月13日付け朝刊18面掲載記事について

弊社は、1月13日付け朝刊18面に 『同社は経営陣が対立していた昨年1月、 社長交代と社長交代は無効との発表をそれぞれ同じ日にし、情報開示が不適切だとして同年2月から監理ポストに割当てられている。 取引所の判断次第では今後、上場廃止になる可能性がある。』 との内容の記事を掲載いたしました。

この記事によりますと、読者の皆様におかれましては、「同社は経営陣が対立していたために監理ポストに割り当てられた。そして、経営陣の対立という問題が解決されていないためそのことを理由に上場廃止となる危険性を孕んでいる。」と理解されるものと思われます。

しかしながら、上記記事はアイビーダイワ社が現在も監理ポストに割り当てられているのだから経営陣の対立も引き続いているはずであると弊社記者が誤解したものであります。アイビーダイワ社の現経営陣は、監理ポスト割当て当時の経営陣から刷新されており経営陣の対立という事態は解消されております。したがいまして、上記記事は事実とは異なる内容を含んでいたことになります。

上記記事は、あくまでも投資家に注意を喚起する意図でアイビーダイワ社の監理ポストに割り当てられていることを記載したものです。「ただし、同社の株式は監理ポストに割り当てられているため注意が必要である。」 とすべきでした。

読者の皆様に誤解を与え、関係者の方々にご迷惑をおかけいたしましたことをお詫びし、ここに訂正させていただきます。


恐らくは書き手本人は、「買い煽るような記事を書いて筋を助力するようなことをするな」という思いが「本来ならこういう謝罪を掲載してしかるべきだ」という考えにつながり、このようなフェイクの文書を書いたのだろう。とはいえ先の【「中国軍、沖縄に侵攻」の偽ニュース製作者、著作権法違反の疑いで逮捕】にもある通り、実名を騙ることは不当行為に他ならない。

日経にしてみれば記事にある通り「記事に誤りがあったとの事実はなく」、管理ポストに割り当てられた理由を書いたまでであり、それのどこが悪いのかということだろう。とはいえ、先のフェイク文書の内容もあながち理にかなっていない、というわけでもないような部分もある。

経済紙のクオリティーペーパーを自認する(そしてその自認は恐らく間違っていない)日経新聞だが、先の【東証、日経の「売買システム処理能力増強」報道を否定】にもあるような、時々先走る内容や「何らかの意図が介入したものではないか」と疑われるようなものも見受けられる。【情報伝達のネット社会における速さと影響力の大きさ】でも少し触れたが、情報の流布やそのボリュームが過去と比べると加速度的・幾何級数的に大きくなっている昨今、ニュースの流し方やその内容次第で事実そのものが大きく動く可能性も十分にある。人間が関与している以上完全中立な文脈による記事の作成は不可能であるものの、影響力を自認している以上、今回のような記事については内容を熟考した上で掲載すべきと見るべきだろう。

それにしても、フェイクの記事が掲載されたのが19時過ぎで、訂正を求める内容の記事が載ったのが1時40分。その差わずか6時間。素早い対応ができるシステムが構築されているのか、それとも何か気がかりな点がこの記事にはあったのか……。当方には判るはずもない。

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