UBS証券、「契約無効」で返上を打診

2005年12月19日 08:30

【asahi.com】によると、みずほ証券によるジェイコム(2462)株式誤発注問題で約120億円の利益を出した【UBS証券】が、「契約の無効という形で利益を返上できないか」と【日本証券業協会】などに打診していることが明らかになった。現状では「利益は日本投資者保護基金などに自主返上する」という形を模索しているが、「それでは海外の株主への説明がつかない」というのが理由のもよう。

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記事によるとUBSグループでは「基金への拠出」ではなく「元々の売買契約の無効」を要望しているという。確定利益を「世論や業界団体からの要請に応じる」形で返上すると、特に海外の株主に対して合理的な説明が難しいとの判断からのようだ。無効にする場合には民法における「錯誤による契約」に当たることを理由にすると見られる。

だがこの場合、売り手に「重大な過失」(重過失)がないことが前提になる。今件の場合にはたとえ東証側のシステム不具合があったとしても、警告を無視して発注を行ったというみずほ証券側の不手際がある以上、これが重過失ととられ、無効が成立する可能性は低い。さらにこの「契約無効」が成立すると、対UBSだけでなく他の証券会社や個人投資家すべてとの契約が無効と判断される根拠となってしまうため、事実上は困難。

UBSとしては「返すのはやぶさかではないが指示通りに返すと株主代表訴訟の危険性があり、かといって返さないと金融庁や世論、業界団体からにらまれる」という八方ふさがりな状況に追い込まれてしまったことになる。日本証券業協会の「自主返上」勧告には法的根拠は無いため、余計に判断に悩まされることになるわけだ。

金銭的リスクは「株主代表訴訟」の方が大きいが、今後の日本国内における経営のことを考えると金融庁などからにらまれるのも避けたいところではある。UBSとしては両方を天秤にかけ、より痛みの少ない方を選択するしかないのだろう。よもや大岡裁きのように「半分だけ供出する」というわけにもいかないし。

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