個人株主急増で株主優待拡大から一転縮小へ

2005年12月17日 20:36

株主優待の例としてタナベ経営の「ブルーダイアリー手帳」オリジナル革表紙イメージ【NIKKEI NeT】によると、株主優待(株主に対して企業が配当金以外に企業の製品や金券などをサービスとして送るもの)を縮小する動きが相次いでいるという。記事曰く、個人株主の急激な増加で財務を圧迫するからとのこと。

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記事では単に個人株主の急増以外に、優待品を金券ショップやネットオークションで転売する者が増え、株主優待の本来の目的「個人株主を増やし、既存株主をつなぎとめる」本来の趣旨からそれてきたという判断を企業がしつつあることも指摘している。具体例として松屋フーズ(9887)の食事券配布の回数を減らす件や、サイゼリア(7581)の食事券の金額半減などをあげている。

「転売ヤー」(転売と「~する者」を意味するerをかけたもの)の増加云々という主張には一理ある。優待とてプレゼントの一種には変わりない。例えば自分がプレゼントしたものが即座にオークションで陳列されていたり金券ショップのショーケースに並んでいたらどう思うだろうか。

さらに「転売ヤー」の少なからぬものは、権利獲得直前に株式を購入し、権利が確定したらさっさと売り抜けてしまう。市場の原理からすれば何の問題もないのだが、企業側としては「安定株主」を求めているのだから、このような動きは面白くない。優待の改悪をしたくなる気持ちも分からないでもない。

とはいえ、個人株主の増加や株主の引止めのために優待を設置しておきながら、いざその目的が達せられたら優待改悪、というのなら、(仮に優待改悪の代わりに配当を増したとしても)少なからぬ株主はその銘柄への魅力を失い、適度な価格でさっさと売り払い、他の銘柄へ移ってしまうことだろう。

例えば新日本建物(8893)は2年以上の長期保有株主に優待のワインを追加で提供する方式を採用している。最近昭栄(3003)も、3年以上の長期保有株主に優待のお米券を追加で提供するというシステムを採用した。このように「長期安定株主化」を図るための工夫を実施する企業もある。また、例えばダイエー(8263)の「株主の名前を記述して使う割引カード」のように、転売が事実上不可能な方法を取り入れている企業もある。

優待の変更ならばすぐにでもできる。だがその前に、知恵を振り絞って現状を改善する方法を模索するのが賢い、そして多くの株主に愛される企業の条件の一つというものではないだろうか。

もちろん株主も、初めから転売云々を考えているのなら、今件のようなリスクも考慮すると「最初から配当高い銘柄を選べばいいではないか」ということになるのだが。

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