「株データブック」を四季報転用として東洋経済がダイヤモンドに出版差し止め請求

2005年12月15日 20:50

『NIKKEI NeT』によると、『会社四季報 2006年1集新春号』を発刊する【東洋経済新報社】は12月15日、「『四季報』の誌面を転用され著作権を侵害された」とし、【ダイヤモンド社】が同日創刊した『ダイヤモンド「株」データブック 全銘柄版 2006年新春号』の販売差し止めを求める仮処分を東京地方裁判所に申請した。

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ダイヤモンド「株」データブック 全銘柄版 2006年新春号イメージ東洋経済側の主張では、上場企業の記事部分において、「特色や業績見通しに関する記述で、四季報の2005年4集秋号」と比較すると、創作性のある記述を転用したと思われる部分が「少なくとも」数十か所見つかったとのこと。

ダイヤモンド社側では申立書を受け取っていないので具体的なコメントはできないとした上で、「各企業への取材などに基づき、当社の独自のスタッフが執筆した。著作権法上の問題が発生しないよう十分チェックしている」と反論している。

「会社四季報」「『株』データブック全銘柄版」の該当号を共に手元に持っていないのでその比較はできないが、版元が指摘している以上、それなりの酷似点があるのだろう。しかも今件で東洋経済新報社は最新の2006年新春号ではなく、その前の2005年4集秋号に転用元があるのではないかと指摘している以上、「『株』データブック全銘柄版 2006年新春号」の該当部分が(転用の有無は別としても)古いデータであるということが露呈されてしまったことになる。ダイヤモンド社側としては笑うに笑えない事実に違いない。

もし転用が事実で著作権法上問題があるようなレベルの場合、たいていにおいて「現場編集スタッフ(あるいは外注)の独自判断で転用していたことが判明した。編集部側のチェック体制に不備があった」などという展開になるのだが、今のところはっきりとしたステートメントは出ていない。

ダイヤモンド社は以前、同様の株式関係の特集誌で、似たような(というより瓜二つの)コンセプトの冊子を発売した別紙に対して、同社の月刊誌『ZAi』で痛烈な批判を展開したことがあった(2002年10月号など)。3年以上前のことだが、その当時のことが思い出される話ではある。

当時はZAiも読み応えのある冊子だったが、編集長をはじめスタッフはほとんど移動し、志(こころざし)も方針もかなり様変わりしてしまった。今回の「事件」が東洋経済新報社側の指摘どおりとするのなら、あるいはその「様変わり」が引き起こしてしまったものなのかもしれない。


(最終更新:2013/09/19)

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