【更新】ジェイコム(2462)の「解け合い」価格91万2000円に決定。売買再開は14日から

2005年12月12日 19:00

【東京証券取引所】子会社の[日本証券クリアリング機構]は12月12日、[みずほ証券]の誤発注問題で渦中にある[ジェイコム(2462)]株式について、91万2000円を特別決済値段とする旨正式に発表した([発表リリース、PDF])。

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今回発表された決済方法は俗に言う「解け合い」という手法で、クリアリング機構の規定第82条に定められているもの。リリースでは「株券の授受に代えて、一定額の金銭の授受により行うこととします」としている。特別決済値段である91万2000円は「誤発注に始まる一連の経過がなかったと想定した場合の価格を基礎として算定いたしました」とだけ説明されている。

なお、リリースでは決済の取り扱いについて

(1)買付約定
買付約定については、約定値段に株数を乗じた買付代金を取引先証券会社に支払いますが、それと引換えに本来受領すべき株券の代わりに、特別決済値段に株数を乗じた額の金銭を取引先証券会社から受領します。

なお、支払うべき買付代金と受領すべき金銭とを差し引き計算のうえ、その差額(損益金)を授受することもできます。

(2)売付約定
売付約定については、通常どおり、取引先証券会社に売付株券を引き渡し、約定値段による売付代金を受領します。

新規上場日に買付後売却した分は、通常通りの決済となります。

<ご参考>取引先証券会社に引き渡された株券は、全量、取引先証券会社からみずほ証券に引き渡されます。

(3)特別決済値段
特別決済値段は、誤発注がなかったと想定した場合の値段を基に算定したものであり、1株につき912,000円とします。


と説明されている。この決定によりみずほ証券の損失額は400億円前後にまでふくらむ見通しである。

なお、当初「最低でも2日営業日の売買停止分を考慮し、2日間ストップ高で算出した10万円×2の20万円を12月8日の最高値(=終値)である77万2000円に足した97万2000円とするのでは」という観測が流れていた。ある意味これは妥当な線ではあったが、それより低い91万2000円と設定されたことで、「ただでさえ誤発注で100万前後で推移する様相だった初値が抑えられ、その後の値幅も抑えられることになった。本来なら初日ですら100万円前後の買値がつくはずなのに誤発注でそれを台無しにされ、挙句の果てに通常の場が開かれるのならストップ高で連騰するはずのところを場そのものも停止させられ、それらよりも安い値で売らねばならないのか」「事実上、みずほ証券の損失を最小限に抑えてあげるための措置にしか見えない。投資家らの権利はどこにいったのか」という反発が予想される。

また、今回の発表では「本来正当に市場に出回るはずだった」3000株(+α)分の株券を誰が取得するのかについての説明がされていない。算定価額の91万2000円※の「詳しい」根拠と共に、この「現物の株券」の行き先についても激しい論議が交わされることだろう。

※この金額については「初値がつくであろうと予測された価格」という説明がされた。

[YOMIURI ONLINE]などの解説によると、今回の解け合いの決定内容については

証券会社は機構の決定に従い、現金決済に応じる義務がある。東京証券取引所が規則で同機構を清算機関に指定しているためだ。個人投資家も、証券会社に売買を委託しているから、事実上、応じざるを得なくなりそうだ。ただ、投資家が現金の受け取りを拒否し、株の引き渡しを求め訴訟を起こす可能性はある。


と説明している(読売側も相当焦っているらしく現時点で同じ記述が何度も繰り返されている……)。なお[損失広げた魔の16分 みずほ証券 誤発注 「取り消し」4回失敗:YOMIURI ONLINE]では誤発注の一連の動きがタイムスケジュールで詳しく説明されている。ご一読あれ。

これと前後して東証ではジェイコムの株式売買再開を14日からと発表した。明日13日も売買は停止されることになる([発表リリース])


※追記記事:[NIKKEI NeT]によると、今回の解け合いに際しては「機関投資家には現金決済を強制し、個人には株券を渡す方式も検討されていたが、株主間に不平等が生じないように、全買い手に同じ条件で強制決済を実施する」とのことである。「モノは言いよう」とはこのことか。

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