まだまだ全容解明は先か。伊藤元国土庁長官がヒューザー社長を国土省に紹介

2005年11月26日 20:55

「打ち合わせ」イメージ【NIKKEI NeT】などによると、先の姉歯建築設計事務所による耐震強度偽装問題で、伊藤公介元国土庁長官が当問題を国土交通省が公表する2日前の11月15日、建築開発会社【ヒューザー】の小嶋進社長を国土交通省の幹部に知人として紹介し根回しをしていたことが明らかになった。

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記事によれば(伊藤元長官曰く)「話し合いの場」において小嶋社長は「ヒューザーが建築したマンションに耐震性の問題があると指摘されたのでなんとかしてほしい」「建物を壊すのは困る」「建て替えるのなら100億や200億の公的支援を」と要請したという。その際、伊藤元長官も同席していたが、話の内容については「細かいやり取りは記憶にない」としている。

紹介しただけでなく「話し合い」の場において同席したことについて伊藤元長官は圧力になるではとの問いに対して「圧力になるのでは」と問われると「間違ったことをやったとは思わない。こういう話であれば、相手が誰であっても連れて行ったと思う」「圧力をかけたという認識はまったくない」と否定したという。

自分がどう思ったかが問題ではなく相手がどう感じたかが圧力になるかどうかを判断する材料であると同時に、この行為が「圧力でない」と判断するのなら常識と言うものに欠けているのではないかという基本的な話はさておき。

「青天の霹靂(へきれき)」イメージ自らを「ホリエモンになぞらえて自分はオジマだから『オジャマモン』とでも呼んでください」と語るなど、被害者感情を逆なでするような発言や態度を繰り返す小嶋社長だが、国土交通省による情報公開がなされた11月17日の翌日に今件を「青天の霹靂(へきれき)※」という形で表現していた。しかし「少なくとも」その3日前には事実を詳細に知っていたことが明らかにされたことになる。

さらに、他にも次から次へと虚言を語り、すぐにそれがウソであると分かるとさらにウソの上塗りを続ける小嶋社長の強硬な態度の裏には、政治家の影が見え隠れしていたことが発覚したわけだ。

他にも、現段階でまだ表立って報じられていない事務所などが深く加担・不当な利益を得て逃げ隠れしている可能性は十二分にある。政治家の関与も人数、関与度もあわせ、まだまだ不透明な部分が多い。不当な行為であることを自認した上で行って得た利益をすべて吐き出だして還元しないうちに、公的資金を導入しようものなら、それこそ「ルールを破ってもばれなきゃOK。ばれても根回ししておけば適当に頭下げて儲けの一部返すだけで、あとは国が面倒見てくれるさ」とでも言わんばかり、一言でまとめるのなら「お金は国が出してくれる」といった「悪しき前例」を作り出してしまうことになる。

公的資金とはイコール国民の税金。不貞の輩(やから)の尻ぬぐいを、貴重な税金で行なうなどナンセンス。そのような余裕があるのなら、先に類似問題としても、阪神淡路大震災や新潟県中越大地震で建物に被害を受けた人たちの救済に当てるべきだろう。

関連して[このページ(nhk.or.jp)は掲載が終了しています]「今回の問題では、対応には気をつけなければならない。悪者さがしに終始するとマンション業界がバタバタとつぶれる。不動産業界もまいってしまう。これは景気がおかしくなるほどの大きな問題だ」とコメントしたようだ。発言内容に間違いはないだろう。だがそれと同時に、このような問題で「悪者探しをするべきではない」と発言した人本人はたいていにおいて、その「悪者」自身か、あるいは「悪者」に依頼された人であるということもあげておかねばならない。それは歴史が物語っている。もちろん清廉な政治家スピリッツと卓越した経済センスを持ち合わせた上でそのような発言が出る場合もあるが(こちらであることを祈りたい)。

むしろ建築業界への不信感を払拭し、信頼を回復するためには、問題をうやむやにすることなく、本当の「悪者」を悪者としてお縄にし、しかるべき処罰と賠償を負わせることが必要なのではないだろうか。調査において業界内部そのものに問題があると断定できれば、直接関係した会社以外に、所属していた業界団体も被害者のサポートに当るべきだろう。


※青天の霹靂(へきれき):予想外のことや事件が突然起こること。小嶋社長にとっては体内時計が少なくとも3日は遅れていたようだ。

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