インフルエンザの治療薬「タミフル」、実は日本が世界一の消費国

2005年11月23日 16:00

タミフルメージ毎年この時期になると流行するインフルエンザ。今年は通常のインフルエンザに加えて鳥インフルエンザが世間を騒がせているだけあり、今まで以上に人々は敏感になりつつある。そんな中で「タミフル」という治療薬が注目を集めている。

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インフルエンザが流行りだすと必ず「A香港型」など地名やアルファベットを混ぜ合わせた名前が出てくる。これはインフルエンザウィルスの特性を表すもので、【セルフドクターネット】などの説明によると、核のたんぱく質の種類や発見場所に由来するとのこと。そしてウィルスはよく知られている通り、特効薬というものは存在しない。正確に言うと、あるタイプに効く薬が出ても、それに耐性を持ったウィルスが「進化」という形で生き残り、増繁殖してしまう。ダーウィンの進化論にある「環境適性進化」がハイスピードで行われると思えば良い。

インフルエンザウィルスにかかった身体を治したい人間様としては、これら進化するウィルスに対し、新しいパターンに対抗するだけのワクチンなり治療薬なりを開発しなければならない。だが、計算式でぱっとできるわけではないので、一朝一夕には完成しない。そこで、今まで汎用的な効果があるとされているタミフルが多用されることになる。

タミフルは【All About Japan】などによると、「インフルエンザの症状がさらにひどくなるのを抑え、症状が出ている期間を短縮する」効用がある。つまり、「治す」のではなく「抑える」ものであり、特効薬のたぐいではない。悪化するのを防ぐ間に、個人個人の自己治癒力で治すための薬だ。一部でタミフルが「インフルエンザの特効薬」と受け止められかねない表現がなされているが、正しくないので注意されたい。

特に日本ではこれまで副作用もあまり言及されていなかったこと、日本人の薬信仰的なところ、多忙な病院で「とりあえず」という形で出す場合が多いこと、そして医者も患者も薬好きであることなどから、多量のタミフルが消費されてきた。今回の記事で参照している[このリンク先のページ(tokyo-np.co.jpなど)は掲載が終了しています]によれば、世界のタミフルの8割までをも日本が消費しているという。また、子供に限定すると日本はアメリカの13倍もの処方量という数値もある。

それだけに今回の「幻覚症状などの異常行動で事故死するなどのタミフルの副作用」の話([このリンク先のページ(tokyo-np.co.jpなど)は掲載が終了しています])に対する衝撃は、どこよりも日本で大きかった。主要発売元の有名メーカーや【厚生労働省】などでも副作用情報を次々に告知し、注意を呼びかけている。

そもそもタミフルは薬である以上、何らかの副作用は必ず生じる。騒動の原因として上記参照記事では

日本での大量消費はなぜか。浜氏は、まず「インフルエンザについて、恐怖をあおる情報が意図的に流され、多くの人の脳裏に植え付けられたからだ。二〇〇〇年までは、きつい解熱剤をよく使っていて、そのためにインフルエンザ脳症で死亡例が多発した。インフルエンザは怖い、という宣伝が行き渡ってしまった」と指摘する。

この“インフルエンザ恐怖症”を前提に、浜氏は「患者側は、タミフルが効かない場合や、異常行動などが起こる可能性も知らされていなかった。一方で、良心的な医者が、薬を処方しないようにすると、患者側が離れていく。副作用の説明や、薬が要らないことを患者に説明するのに時間がかかり、『出した方が早い』と考えてしまうような状況がある」といった事情を指摘する。


と日本独自の事情ゆえのものであると分析している。また、風邪に対する文化的な考え方の違いも原因のひとつにあるようだ(欧米では風邪の場合は安静にして自己治癒力で治し、病院には通わないそうな)。

自己治癒力ではかなわない場合や、医者に指導された場合、その他事情があるときには薬の服用は当然すべきである。だが、予防する目的でタミフルを多量に服用すると、かえって抵抗力がついてしまい、肝心のインフルエンザにかかった時に効かなくなってしまうかもしれないという危険性も指摘されている(もちろんこれはタミフルに限ったことではないが)。

備えあれば憂いなし。インフルエンザに備えて国や病院がタミフルを貯蔵するのは歓迎すべきこと。だが個人個人がタミフルに頼りすぎてその貯蔵されたものを浪費したのでは、身体に良いとはいえないし、国際的な非難を浴びかねない。

表現は悪いが薬の服用とは身体に異質なものを入れることに他ならない。服用は最小限に押さえ、自己治癒力で治せるよう、日ごろから健康を保ちたいものだ。

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