がん特約不払いも1950件、明治安田生命の暗部はどこまで

2005年10月31日 12:50

健康家族イメージ[このリンク先(asahi)はすでにページが削除されています]によると、10月28日に業務停止命令を受けた【明治安田生命保険】において、がん患者に対する特約給付金を支払っていない事例が2000件近くに及ぶことが明らかにされた。先の業務停止命令(新規業務は無期限停止)のもとになった不当不払い問題は、保険業務における基本中の基本、顧客が信頼をよせる「保険金の支払い」を軽視していた実態を明らかにしており、同生命の信頼は根幹から揺るがされつつある。

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がん特約」というのは、がんが発病したがん患者に給付金を支払う仕組み。がんと診断された上で入院すると、普通の病気で入院した場合より多く給付金が支払われる仕組みになっている。ところが今件では、その割り増し分が支払われていないケースが多かったのだという。

明治安田側の言い分はこうだ。「がんの告知は深刻な問題。医者から患者本人や家族にがんであると告知されていない場合にがん特約を支払うと、がんであることが当事者に分かってしまうではないか」。この理由で支払いを留保していたのが過去10年間で6300件もあったという。

仮にこの理由に正当性があるとしても、患者が死亡するなど留保の理由が無くなった後でも支払いが行われていない件が金融庁の指摘分だけで1450件、調査中のも含めると1950件(5億円程度)あったという。

明治安田側は記者会見の中で謝罪しつつも「支払わないと決めたわけではなく、不払いではなく未払いだ。結果的に支払われなかったのは事務ミスだった」(金子社長談)としている。が、不払いだろうと未払いだろうと払っていなかった事実はくつがえしようも無く、責任回避のための言葉のアヤに過ぎない。

もし今後の捜査の結果、「支払わないと決めていた」のが発覚したら「不払いだと発表するつもりだったが結果的に言わなかったのはミスだった」と禅問答のような表明でもするつもりなのだろうか。また事務ミスでこれだけ多数の「未払い」が発生する体制なら、それはそれで重大な責任が発生するはず。

体制の再構築と信頼の回復をなしえるためのさまざまな手立てを尽くし再生しない限り、同社の顧客は減り続けることだろう。その結果経営が悪化したとしてもそれは因果応報という言葉を当てはめるしかない。顧客ひとりひとりにしてみれば、他にも保険会社は山ほどあるのだから。

個人的には、自分の体験(入院)の上で「保険は大事だ」と一層思うようになった。だが、いざというときになって顧客に舌を出しかねないような姿勢の会社の保険になど入りたくは無いというのが正直な感想。同じ思いを持つ人も多いことだろう。

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