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2008年06月21日
世界最初の「携帯」電話は1902年生まれ
2008年06月21日 13:54 | 解説・ニュース
【DailyMail】に流れていたタイトルに思わず目が留まった。「世界最初の携帯電話はゴミ箱サイズで1902年に登場。通話エリアは800メートル(Revealed: The world's first mobile phone was the size of a dustbin lid - and had a range of just half a mile in 1902)」というものだった。携帯電話の元祖は仕組み的には第二次世界大戦中にアメリカ軍が使用した携帯無線機で、現在のような形になったのは1970年代に日本で展開された「ワイアレスホン」あたりからではないか、という記憶があったからだ。しかし本文を読んでみると「なるほど」と納得させるものがあった。

Nathan Stubblefield氏と「携帯電話」。大きな無線機のようなものがそれ。
現在携帯電話は「手のひらの情報端末」とでも表現できるように、電話だけでなくさまざまな機能を持ち合わせている。これも各種技術の発展によるたまものだが、その技術がなかった過去においても同じような願望を持つ人は大勢いた。そのひとりがアメリカ・ケンタッキー州生まれのNathan Stubblefield氏。
元々メロン農家だった彼は、自分の果実園の中に37メートルほどの電波塔を建てて電波を発信させ、モバイル性のある電話を完成させた。裏話話としては、この電波塔を作るのに使用したコイルの長さが、直接電話線としてつなげるよりもはるかに長いものだったというエピソードもある(要は「直接つなげよ」ということ)。そして1902年の元旦に、この実験を実施し、成功を収めたという。これはいわば「無線機」に近いものだが、移動を前提に考えている以上「移動型通話装置」、つまり「携帯電話」ということになるのだろう。
彼はその後も発明を続け、1908年には駅馬車や船など、定期ルートを行き来する乗り物で連絡を取り合うシステムも考案し、こちらの特許も取得した。移動経由が限定されているのなら、電波塔や電波アンテナの量も少なくて済む、という考え方だ。

移動経路が決まっている船や駅馬車ならインフラも少なくて済む……という考え
彼のことを調べている研究家によれば「彼は単に遠く離れた距離にある家々を電話で連絡が取れるようにして、地元の人たちを助けたかっただけだ」とその開発の意図を伝えている。しかし当時としては(直接つなぐ長さ以上のコイルを使う、せいぜい1キロ前後の先までしか会話ができない、持ち運びに苦労する「モバイル」であることなど)実用性に欠けていたことや、さらに彼が徹底的な秘密主義を貫いていたため「携帯電話」の販売を許さず、その上実験場でもある「電波の届く範囲」にあった果実園への他人の立ち入りすらちゅうちょしたことなどから、当然のごとく普及はしなかった。残念なことに彼の「携帯電話」ビジネスはうまくいかなかった。
彼は妻から離縁状を突きつけられ、最後の10年間は流浪の旅を余儀なくされた。1928年には全財産を使い果たし、心残りのままこの世を去った。
【彼のことをたたえる公式サイト】では、彼の業績を再評価すべきであることや、さまざまな彼の形跡が語られている。
Nathan Stubblefield氏の業績をたたえる番組。今では彼の石碑も建てられているそうな。
携帯電話は今や一家に一台どころかひとりに一台、下手をするとひとりに数台保有している人も多い。水や空気、さまざまなインフラ同様欠かせない生活必需品として普及しているこの携帯電話が、100年以上前にひとりのメロン農家の手によって実現されていたことを考えると、「技術の進歩と努力、何かを成し遂げたいという気概と発想力があれば、出来ないことはない」という想いが馳せる。また、もし彼が今の時代によみがえったとしたら、ここまで普及した携帯電話を見てどのように思うだろうか。感想を聞いてみたいものである。
(今記事はGarbagenews.comにおいて2008年5月に掲載されたものを加筆修正したものです)
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