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2009年08月16日

なぜ真夏から!? 東京都のインフルエンザ報告数に特異な傾向

投稿者 不破雷蔵 : 2009年08月16日 09:31 | カテゴリー [医療関係ニュース ]

今年春先にかけて何度となく報じられ、最終的にWHO(世界保健機構)からパンデミック宣言も出された「まま」の新型インフルエンザ「インフルエンザA(H1N1)」。幸いにも日本では感染傾向がおとなしくなる夏季に入り、現在は報じられる機会も滅多になく、逆に報道側では行政機関の対応を「大げさ」「人気取り」と叩く材料に使う始末。その一方で「夏季を過ぎたころからまた問題視されるような状態になるのでは」という考えも根強い。そこで色々と「通常のインフルエンザの推移」も兼ねてチェックを入れていたところ、東京都のデータに特異な傾向がみられることが確認できた。

具体的には【東京都の感染症情報センター】で公開されている、【定点報告疾病集計表・週報告分データ】。このデータで感染症名を「インフルエンザ」(新型インフルエンザにあらず)に設定し、「5年間比」をクリックした上で「更新」をした結果が次のグラフ。

東京都における「インフルエンザ」の週単位報告数推移(今年も含めた過去5年間)
東京都における「インフルエンザ」の週単位報告数推移(今年も含めた過去5年間)

分かりやすいように今年の30週目以降(要は直近)を青丸で囲ってみたが、過去5年間には無かったような、この時期からの上昇傾向が確認できる。念のため過去データが用意されている1999年分までさかのぼってみたが、夏季のこの時期にこのような形を見せた前例はない。

グラフの両端、つまり冬季においては、毎年のグラフの形や幅をみれば分かるように(そして通常のインフルエンザの流行に関する過去の記事【計測史上最速のインフルエンザ流行宣言】)にもあるように、毎年流行傾向に差異がみられる。これは当然の話。しかしこの夏場から、報告数が増加を見せる傾向は、過去10年間においてはまったく見られない話である。

国単位のグラフでも、まだ誤差の範囲と思われるが、【似たような傾向を見せているのが分かる】

国立感染症研究所感染症情報センターによる、インフルエンザ報告数(2009年8月2日分まで)
国立感染症研究所感染症情報センターによる、インフルエンザ報告数(2009年8月2日分まで)

さらに気になるのが、各週の報告数全体における若年層の割合。通常の冬季流行時におけるインフルエンザの報告数の年齢階層比率と比べると、10代~20代、特に15~19歳の層の割合が多いように見える。一方で(元々少なめなのだが)高齢者の報告数は極端に少ない。

東京都におけるインフルエンザの報告数(年齢階層別、該当週合計に占める割合、2009年1~6週と27~32週)
東京都におけるインフルエンザの報告数(年齢階層別、該当週合計に占める割合、2009年1~6週と27~32週)

これはおそらく、新型インフルエンザに対する世間の警戒が強まったことによるものだろう。インフルエンザのような症状が見受けられた際に、通常なら自宅で静養するなりして自己治癒力に任せて治していたところを、「もしかしたら新型インフルエンザかも」とばかりに病院で検査を受けてもらい、結果としてインフルエンザであることが確認できた人が増えたことによるものと思われる。

特に15~19歳は高校生が該当する。人が集まる場所で過ごす時間が多い年頃の一方で、学校単位で新型インフルエンザ警戒にあたり、チェックが厳しいことから「普通の」インフルエンザの確認数が増えた……というあたりが正解だろう。

とはいえ、現在パンデミック宣言の対象となっている新型インフルエンザ「インフルエンザA(H1N1)」も、結局は通常のインフルエンザとあまり変わるところは無い(簡単にいえば、ワクチンや免疫があるか無いかの違いくらいだ)。特異な傾向は傾向として、注意深く監視を続けていくに越したことはないだろう。

これらの書籍などが参考になります

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