2009年02月07日
辞めさせられたけど再就職をあきらめる人が増えている!? 統計局の「完全失業率の急上昇」をざっと読み通す
2009年02月07日 19:00
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派遣社員だけでなく正(規)社員にまで及び始めた雇用問題が身近なテーマとなり、日々メディアを騒がせている。特に上場企業大手が相次いで下方修正決算予想と共に自社の非正規雇用社員、さらには正社員にまで踏み込んだリストラを発表するに、世情の厳しさを実感する人も少なくあるまい。施政の判断に役立てるべく各種調査を行いデータを収集する総務省の統計局でも2009年2月6日、【完全失業率の急上昇をどうみるか】と銘打って直近のデータを元に特別コラムを掲載した。いくつかのデータと共に現状がつかみやすい内容となっているので、ここではさらにざっとかいつまんでまとめて見ることにする。
まず最初に提示されたのは、直近10年間の完全失業率(季節調整値)の推移。ちなみに「完全失業率」とは「完全失業者÷労働力人口×100」。統計局の場合には「仕事についていない」「仕事があればすぐにつくことができる」「仕事を探す活動をしていた」のすべてに当てはまる人が「完全失業者」に認定される。

完全失業率推移
月次の「景気ウォッチャー調査」でも触れているが、一般に景気後退期には雇用関連のマインドも低下する。これは直接的には失業率の増加にも直結する話。好景気の終えんが認定された2007年10月以降、失業率の低下が止まり、そして2008年の10月以降に急上昇を見せているのがはっきりとわかる。
さらに統計局の分析によると、
・2008年の9~10月では「失業者数と共に就業者数も減っている。それに反して非労働者人口は増えている」とし、「仕事を辞めた人の多くが『失業者』ではなく『非労働者人口』(上記失業者の3条件のいずれかに該当しない人)になった」ことを示している。
・「仕事を探す活動をしていた」が当てはまらない、すなわち求職活動そのものを手控えた可能性が高い。
・なぜ「就職活動をしなかったのか」といえば、「先行きが不安な景気後退期には転職が控えられる傾向がある」ため。リーマン・ブラザーズ・ショックなどで求職マインドが冷え込み、求職活動自体をあきらめた人が増えた可能性を示唆している。
としている。つまり「仕事を辞めた、辞めさせられた人は増加」「しかし再就職をあきらめている人が多いため、失業率はさほど上がらない」ということ。

仕事を辞めた人が増えても、その人が求職活動をしなければ、失業率は急激には上昇しない。ちなみに新聞を読んでいる、求職活動をあきらめた人は「非労働者人口」にカウントされる。
さらにレポートでは「自発的理由」(自分から辞めた人。転職や出産などがメイン)と「非自発的理由」(勤め先の倒産、人員整理、勧奨退職、事業不振や、定年又は雇用契約の満了などの理由で辞めさせられた人)の数の変化を見せている。

完全失業者のうち、「自発的理由」で離職した人と「非自発的理由」で離職した人の数の変化(対前年同月増減数)
2008年3月以降は「自発的理由」「非自発的理由」の双方が増えていたが、9月には前年同月比で変わらず。そして10月の減少を境に11月・12月は「非自発的理由」のみが突出して増えている。つまり2008年10月以降は「より良い場所を求めて転職を考えていた人は押しとどまる」「企業側の事情で辞めざるを得ない人が増えている」傾向が顕著になりつつあることが分かる。
上記グラフは「前年同月比」の割合のものだが、これを絶対数(完全失業者数……つまり非自発的・自発的いずれにしても職を求めている失業者)でその推移を示したグラフも記されている。

主な求職理由別完全失業者数
つまりこれらのデータからは、2008年秋以降の傾向として
1.会社都合の解雇者(非自発的離職者)が急増している
2.自発的離職者(転職希望)は現職にとどまる傾向を見せる
3.会社都合で解雇された人の多くが、存在的失業者(=非労働力人口)の立ち位置に移行している
4.景気「見通し」「報道」などで求職活動をあきらめた人が急増している
などが見て取れる、としている。
統計局のレポートでも言及されているように、雇用・失業の動向を正しく理解するためには、労働力調査の統計だけでなく、他の関連統計も併せて分析することが重要。統計局のデータ以外には厚生労働省の職業安定業務統計(有効求人倍率など)、毎月勤労統計調査などがあるが、それぞれの特性(例えば「職業安定業務統計」はハローワークで把握された統計なので、求人情報誌を通じた求職・求人は把握できない)を理解した上で、勘案する必要があるだろう。
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