【更新】【転送】コンビニでたばこの売り上げが急増している件について

2008/06/18 13:27

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たばこの自動販売機イメージ毎月下旬に更新している【コンビニエンスストア(日本フランチャイズチェーン協会発表)】の売り上げ月次データの中でも触れているのだが、たばこ自動販売機用の成人識別ICカード「taspo(タスポ)」の導入で、コンビニエンスストアに「たばこ特需」がおきつつあるようだ。[毎日.jp]ではいくつかの店舗の事例を紹介している。


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「タスポ」とは【たばこ購入用成人識別カード「taspo」の申し込み開始】で説明したように、たばこの自動販売機で本来購入してはいけない未成年者が買えないように、成人であることを証明するための「自販機利用のための成人識別ICカード」。将来は電子マネー機能も導入してそのカードだけで購入できる仕組みになるが、現行では単なる証明カードでしかない。

タスポイメージところがこの「タスポ」、取得に手間はかかるし手に入れてからも持ち歩くのは面倒で忘れがちということで、とかく喫煙者からは敬遠されがち。そこで行き着く先が「開いてて良かった」のコンビニになる。

この「自販機からコンビニへ」の動きはすでに【喫煙者の3割が「自販機で買わない」taspo(タイポ)導入で起きる変化】など各種リサーチ結果で推定されていたが、実際にその「効果」が見え始めているという。下記事では5月においてコンビニ大手4社の既存店売上高が4年ぶりにそろって前年同月比プラスに転じ、「タスポ特需」を歓迎しているとのこと。

単純にたばこの売り上げが上がるだけでなく、「ついでに」とばかりに缶コーヒーなどのこまごまとした嗜好品、そして売り上げ全体も上昇。これを好機ととらえた各コンビニでは、例えばエーエム・ピーエム・ジャパンでは店舗のたばこ商品棚の大型化による在庫量の増加と銘柄数の拡大(4割増)、[セブン-イレブン(3382)]でもたばこ売り場の拡大と、「ついでに」のお供、缶コーヒーの品揃えを増やすという。

また元記事にはないが当方(不破)がよく利用する[ファミリーマート(8028)]でも、入り口すぐそばにある、通常は全店で展開するキャンペーンアイテム向けの場所「特等席」に、たばこのカートン箱をずらりと全段・幅1メートルほどの規模で積み重ね(中身はすべて空)、たばこの販売強化をアピールしている。この場所なら入店した直後にすぐに目に留まるだけでなく、「店外からもたばこの存在を知らしめること」がてきる。さらに夜半は店内の光に映し出されたたばこの箱が強調されるため、下手な店外看板より目立つ状態。

カートン単位のたばこイメージ【最新のコンビニ売り上げ月次データの分析】でも触れたが、各コンビニの「タスポ特需」がはっきりと現れるのは6月下旬発表予定の5月分データからと思われる。全コンビニという「平均化データ」において、どこまでタスポによって客が誘引され、ついで買いによる売り上げ効果が生じているのか。非常に興味深い話ではある。

なおコンビニ関連動向では「タスポ特需」と前後し、省エネに反するという趣旨から24時間営業を自粛するようにという動きが進んでいる(【京都市、深夜のコンビニ営業規制を発表(日経新聞)】)。一方で地域コミュニティの核になって欲しい・防犯や災害時の拠点として重要な位置づけとして云々しつつ、もう片方で営業時間を短縮しろというのはずいぶんと調子の良い話な気もする。一方でコンビニ側でも例えば【店舗全体は7%、照明機器は50%の電力消費量削減に成功・ローソンが全部の新店舗でLEDを採用へ】にあるように、自主的に電力の消費量削減に臨み、自分なりの戦略で解決策を提示するところも増えている。

需要縮小で各小売業が苦境に立たされる中、コンビニはこの「タスポ特需」を好機ととらえ、静かに、そして全面的な攻勢に出ることだろう。

※補足:
タスポには「ピデル」というプリペイド式の電子マネー機能が搭載されているので、「対応する」自販機ならばそこから引き落としで購入することが可能。ただし「ピデル」は他の電子マネーとの互換性は無く、制約が大きい。また、自販機設置側の立場では会計上計算が非常に複雑になることも報告されている。


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